2020-08-02
昨夜、何気なく「寅さん」を観てたのですが、作品の中の1シーンで、ある劇団の人たちが寅さんと別れる際、「またいつかどこかで会いましょうね〜」のようなことを言って手を振る場面がありました。
この当時は携帯電話もなく、連絡手段はもっぱら固定電話か手紙。
「劇団の人たち」は、全国津々浦々、移動して周るので、「いつかどこかで」という挨拶になってしまうんですよね。
今では「LINE交換しましょ」で済みますが、果たして「LINE交換した人」とその後どれだけ連絡を取り合っているでしょうか。
おそらくほとんどが、「いつでも連絡が取れる」状態に安心して、「あえて連絡は取ってない人」がほとんどなのではないでしょうか。
携帯の番号を交換したり、LINEやインスタのI.Dやアカウントを交換しただけで、「その人と繋がった気になってる」だけで、実のところ、薄っぺらい関係であることがほとんどでしょう。
昨夜の「寅さん」(確か18作目でしたか)で、久しぶりにたまたま再会した劇団の方らと舞台後食事に行き、そのまま夜更けまで飲み明かして騒いで、というのは、現代じゃちょっとなかなか無いでしょうね。
現代であれば、たまたまどこかの駅前で昔の仲間らと再会しても、何らかのアドレスやらI.Dを交換して、社交辞令的に「また連絡する!今度飲み行こ!」で終わるでしょう。
実際に飲みに行くこともたまにはあるでしょうが、いつでも繋がってる安心感があるものですから、「夜更けまで飲み明かして、別れ際に別れを惜しんで再会を待ちわびる」ような感情は起こらないでしょうね。
便利を優先すると時間が犠牲になる
と、別の記事で書きましたが、
便利を優先すると感情の起伏も犠牲になる
のでしょうか。
それが当たり前になっていくのも、どこか寂しいものです。
もし今の時代に実際に「寅さん」がいたら、寅さんはスマホを使いこなすでしょうか。
行き当たりばったりではなく、Googleマップで行き先を決める寅さん、リマインダーで予定を逃さない寅さん、LINEで相談を受ける寅さん、Facetimeでさくらと会話する寅さん、テキヤで売るものはメルカリで、泊まるところはエアビーで、、
なんか楽しくなさそうですね、この「寅さん」。。
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さてこの「寅さんシリーズ」。
災害時での被災地などではバカ受けのようで、リクエストがとても多いようです。
1シーン1シーンをよく見ると、主役級はもちろん、脇役やエキストラの演技、背景の様子や情景までもが細かく描かれており、何度見ても見所が見つかります。
大雑把に見ても楽しめて、細かく見てもまた別の目線で楽しめる、そういうところが長いこと人気が衰えない、要因なのでしょうかね。
また、昔は当たり前のようにあった風習、例えばお世話になった方への御礼だったり挨拶だったりご近所さんとの交流だったりが、さらっと描かれてて、懐かしい気分、昔にタイムスリップしたかのような気分にさせられてしまいます。
お互いの協調、自助公助共助、利他主義のメッセージが作品全体から伝わってるくるあたり、日本の非常時には是非観直してみたい、映画の一つです。
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