2020-06-17

「フラット35S」と「フラット50」

前回の記事、「フラット35とは」に引き続き、今回は「フラット35S」について。

金利については、実際に「フラット35」を申し込んだ際、その金融機関が最終的に金利を決めるのですが、「フラット35S」は、その家が省エネルギー性、耐震性など質の高い住宅であった場合、そこで決められた金利をさらに当初5年間、または10年間0.25%引き下げる、といった内容のものです。

残高が多い時期での引き下げなので、シミュレーションでいうと、例えば3000万円の融資の場合、最終返済額で約68万円ほど(金利Bでは約38万円ほど)の差が出ます。

意外と大きいですね。

それなりに適用要件などもありますが、こちらから手出しもほぼナシで、この優遇が受けられるのであれば、アリだと思います。

さらに金利は若干高めですが、長期優良住宅向けの「フラット50」についても。

それでは早速解説していきます。

「フラット35S」とは

先ほども少し触れましたが、「フラット35S」は金利Aプランと金利Bプランに分かれます。

技術基準のレベルは、

フラット35<フラット35S(金利B)<フラット35S(金利A)

と厳しくなっていきますが、その分金利の優遇があります。

住宅の技術的な基準については、

①省エネルギー性

②耐震性

③バリアフリー性

④耐久性・可変性

の4つの分類で、それぞれ求められるレベルが変わります。

「フラット35S」の適用要件

【フラット35】Sの適用要件

①省エネルギー性は、建物の「外壁」や「窓」等の断熱性能などでの等級によって分かれます。等級が上がれば冷暖房費も安くなりますので、その分のメリットも十分にあります。ただ、家の作りにより差がありますので、正確な数字で比較することはできません。

②耐震性は、どれだけ地震による損傷が抑えられるかの程度ですが、Aプランで国の最低基準の1.5倍程度、Bプランで1.25倍程度と決められてます。耐震性が上がると(耐震等級3)、地震保険の保険料も下がりますので、保険に入られてる方はチェックしておきましょう。

③バリアフリー性は、ご高齢者の方のための部屋の面積や、段差、手すりなどの構造物の程度で分けられます。

④耐久性・可変性は、Aプランでは長期優良住宅など、Bプランでは構造上(外壁や水道管など)、長い期間の居住が可能であるかの基準です。

これら4つの基準のうち、少なくとも1つ以上を満たしていれば、「フラット35S」が適用可能となります。

中古住宅の場合は金利Bプランのみで、求められる審査基準も若干変わります。

多かれ少なかれ、多少のリフォームが必要になる場合が多いかと思われますので、先に見積もりを取り、金利による優遇分と比較して決めると良いと思われます。

プラマイゼロやその近辺であれば、リフォームしたことによる居住性のメリットに加え、資産性も上がる見込みがあるので、その辺りも考えて判断なさると良いかと思います。

「フラット50」とは

ローン償還期間が50年の住宅ローンです。

適用条件は、長期優良住宅または住宅の耐久性などについて住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合している住宅です。

長期優良住宅は「長期優良住宅認定通知書」、耐久性については「適合証明書」が必要です。

長期優良住宅の認定制度が始まったのが2009年なので、中古市場でもこれから増えていくと思います。

中古住宅の場合、必要なリフォームをして「適合証明書」を発行してもらうことで「フラット50」の適用は可能になりますが、新築時の「適合証明書」があっても、それだけでは審査に通らないこともあります。

必ず、事前に金融機関に相談し、必要な「証明書類」をもらうためのリフォームの範囲を確定することを心がけるようにしましょう。

「フラット50」の利用条件

「フラット50」を利用できる人は、以下の要件を満たす必要があります。

①申し込み時の年齢が44歳未満で、完済時の年齢が80歳未満(親子リレー返済の場合は44歳以上でも可)

②日本国籍を持つ人、永住許可を受けている人、特別永住者

③総返済負担率が、

・年収400万円未満  30%以下

・年収400万円以上  35%以下

❇︎総返済負担率…年収に占める、この住宅ローンを含めた全ての借入金の年間返済額の割合

「フラット50」で借りられる金額と期間

これまでは、借りられる金額は建設費または購入価額の60%以内で、100万円以上6000万円以下でしたが、令和元年10月1日の融資実行分から物件価額の9割(限度額は8000万円)に改正されてます。

借入期間は、

①36年以上50年以下

②80歳から申し込み時の年齢を引いた年数

この2つのうちの短い方の年数となります。

金利や手数料は「フラット35」同様、金融機関によって異なります。

全期間「固定金利」で、元利金等か元金均等のどちらかでです。ボーナス返済も可能です。

注意点は、「フラット35」を扱ってる期間全てで「フラット50」を扱ってるわけではありません。

事前に問い合わせるようにしてください。

最後に

いかがでしょうか。

固定型の住宅ローンでは「フラット35」や「フラット35S」はこのままでもとても人気のある商品ですが、他にも「フラット35 子育て支援型」と「フラット35 地域活性型」との組み合わせで、当初5年間、0.25%の優遇が受けられる、という組み合わせ方もあります。

まずは返済計画を立てつつ、金融機関でどのような商品の取り扱いがあるか、必要な条件はどんなものかについて、お問い合わせ頂くと良いと思います。

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コロナによる影響で返済の各ご相談などもかなり増えているそうです。
借り換えや金利自体の見直しも視野に入れながら、毎月の固定費の再計算など行ってみるのも良い機会かもしれませんね。

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