2020-06-13

フラット35の基礎知識を開設します

住宅ローンについては以前、その種類や返済方法などについて、「住宅ローンの基礎知識」で解説いたしましたが、本日はその主役の一角とも言える「フラット35」について。

住宅の建設・購入資金の長期・固定・低利での直接貸付のために、池田勇人内閣時に発足された「住宅金融公庫」が平成19年に廃止され、それ以降、住宅ローンの主役をになってきたのがこの「フラット35」と言われてます。

最近ではインターネットの普及に伴い、ネット銀行などの変動金利で当初スタートし、その後見直しするパターンが半数以上ですが、返済契約やローンの組み直しなどの手間(金利動向も含め)を考え「全期間固定」のニーズも根強いものがあります。

そんな固定型の住宅ローンにおいては、「借りる側」は、なるだけ低利の長く借りたい、「貸す側」は、長くて金利が低ければリスクが上がる、このジレンマを「住宅金融公庫」の業務を承継した「住宅金融支援機構」が請け負ったのが「フラット35」というわけです。

それではその中身を解説してきます。

主な特徴

①自営業者(個人事業主)でもOK

②年収ではなく総返済負担率で審査

③最長35年で金利が固定(実行時の金利で)

④融資限度額は100万円以上8,000万円以下

⑤融資額は建設費または購入価格の10割まで

⑥保証料や連帯保証人は不要で

⑦繰上返済手数料が無料

⑧団体信用生命保険への加入は任意

⑨省エネルギー性、耐震性などが優れていれば、一定期間さらに低金利

お申し込みは住宅金融支援機構と提携している金融機関だればどこでも可能ですが、金融機関ごとの金利に差はあります。

また、リフォーム資金や借り換えには利用できません。

メリット・デメリット

民間ローンと違い、個人事業主の方でもお申し込みできる点が大きなメリットでしょう。

また、団体信用生命保険への加入も任意で、保証料も不要です。

ただ、デメリットとしては、変動に比べ高い金利で払い続けなければならない点と、頭金が少ない方(融資率が9割超)の場合、金利が上がる点です。

融資率:住宅価格に占める借入額の割合

利用要件

まず、利用できる人は、

①申し込み時の年齢が70歳未満の人

②日本国籍または永住許可などを受けている外国人、または特別永住者

③総返済負担率が以下の要件を満たしてる人

・年収400万円以下         30%以下

・年収400万円以上         35%以下

総返済負担率:年間の収入に対する返済額の合計の割合

要件としては、

①対象となる住宅は、建設費または購入価額が1億円以下で、床面積は、

・一戸建て:70㎡以上

・マンション:30㎡以上

②融資金額は、100万円以上8000万円以下

③融資期間は、15年以上または35年以内(❇︎申し込み時の年齢が60歳以上の場合は10年以上)か、完済時の年齢が80歳となるまでの年数のうちいずれか短い方

④融資実行時の金利で固定

⑤返済方法は、元利均等返済か元金均等の毎月払い(ボーナス払い併用可)

⑥担保は対象となる物件に住宅金融支援機構を第一順位の抵当権者とする抵当権を設定すること

⑦保証人、保証料は不要

⑧住宅金融支援機構の団体信用生命保険に加入(未加入の場合は金利が0.2%下がる)

⑨火災保険を付けること

フラット35は、人より物件そのものに照準が当てられています。

新築の建売などは、最初から基準を満たすように作られてることが多いのですが、中古住宅購入の場合は、その建物が技術的な耐震構造になっているか、耐久性基準を満たしているか、などに注意が必要です。

金融機関により建築確認の書類や「耐震基準適合証明書」などの提出を求められますが、必要に応じ、技術的基準を満たすための耐震や防火のための工事を必要とする場合があります。これの費用に数百万円かかるようであれば、ちょっと考えものですが、数十万円で済むようであれば、費用対効果はそれなりにありそうですね。

逆にいくら収入があっても、物件自体が「技術的基準」を満たしていなければ、融資を受けられませんのでご注意を!

また、融資を受けられる金額についても、買取型と保証型で少し違います。

買取型=90%まで

保証型=100%

買取型というのは、

住宅金融支援機構が申し込みをした金融機関の住宅ローン債権を買取り、独自に証券化するタイプのもの

保証型というのは、

金融機関自体が証券化し、住宅金融支援機構が元利金の支払いのみを保証するタイプのもの

です。保証型は金融機関独自の商品なので、それぞれ特色や商品の種類も豊富です。
また、民間住宅ローン同様、借り換えができるという点でも大きな違いがあります。

その他、買取型と保証型で若干の相違点もありますので、金融機関などで相談する際、尋ねて見ると良いと思います。

申し込み手続き

「フラット35」というのは、金融機関と「住宅金融支援機構」の提携商品ですので、取り扱いのある金融機関であれば、どこでも申し込むことができます。(ただし、金利に差異はあります)

まずは、借入申込書を取り寄せて記入します。

これには2年分の年収を記入することになります。

このお申し込みから、おおよそ1〜2週間で審査の結果が通知されます。

その後、各金融機関の窓口で申請をするのですが、この時に、先ほども触れた「耐震基準適合証明書」などの、技術的基準を満たす証明書の提出を求められます。

事前にどのようなものが有効であるかの確認はしておいた方が良いでしょう。

この段階で融資の契約(金銭消費貸借契約)が成立します。

融資事務手数料は、定額型と定率型があり、定額型は3〜5万円ですが、定率型は借入額の1.5%〜2%前後ある場合もあります。

例えば2000万円の借入でも2%だと、40万円となります。

一般的には定率型は手数料が高くなる分、金利が低め、定額型は手数料が安い分、金利が高めに設定されています。

商品により異なりますので、金利だけでなく、融資事務手数料をよく見るようにしましょう。

西日本シティ銀行のフラット35(買取型)

提出書類

まずは金融機関の申込書が必要ですが、その他に

①公的収入証明書

②本人確認書類

③物件・資金使途に関する書類

④適合証明書と検査済み証

大まかですが、この辺りが必要になってきます。

まず①は、給与所得者であれば市区町村が発行する「公的収入証明書」。給与所得者以外の場合は「住民税の課税証明書」または「納税証明書」及び「確定申告書」等です。

②は、運転免許証やパスポート、保険証などで、写し(コピー)で大丈夫です。

①、②共に、連帯債務者がいる場合はその分も必要となりますのでご注意ください。

③は、土地や建物の登記簿謄本(2ヶ月以内)と売買契約書です。これから家を建てるような場合は「工事請負契約書」で大丈夫です。

新築のマンションの場合は、募集パンフレットや価格表の提出を求められることもあります。

④は、すでに建物が竣工している場合、必要となります。

その他、借地に家を建てる場合は、その借地の地主の承諾書、農地の場合は農地転用許可証などが必要になります。

その都度代わりますので、前もって確認しておくと良いでしょう。

民間金融ローンとの違い

住宅ローンの違い

民間の金融機関による住宅ローンとの違いを見てみます。

主には

・保証料の有無
・団体信用生命保険の加入
・繰り上げ返済の手数料
・審査基準

です。保証料については、前にも述べた通り「金利との兼ね合い」で見るようにしましょう。

団信については、フラット35は任意ですので、健康状態があまり良くない方にとっては有利になります。加入しなければ多少金利は下がりますが、その分、他の保険などへ加入した場合は、その費用との比較になります。

審査基準については、前述した通り、年収についての基準と住宅についての基準を満たしている必要があります。

特に収入については、年収と借入合計額の割合の点が見られますので、その点では民間住宅ローンに比べれば緩いと言えそうです。

最近、転職される方も多くなってきてるので、そういう方にはフラットの方が有利でしょう。

また、商品の種類も最近増えており、適用条件が合えば「【フラット35】子育て支援型・地域活性化型」では、当初5年間、金利が0.25%引き下げられます。フラット35Sとの併用も可能ですので、場合によっては0.5%〜1.25%以上下がることも可能になってきます。

一方、民間住宅ローンでは、建築するハウスメーカーとの提携商品があったり、勤務年数が長く、健康状態が長い期間良好であれば、それなりの優遇が受けられたりもしますので、どちらを取るかはそれぞれです。

仕事の状況、健康状態、優遇特典、商品…

これらを総合的に見て、ライフスタイルや人生設計なども考慮し、よりご自身に合った方を選ぶと良いでしょう。

最後に

最近、新型コロナウイルスによる影響で、返済にお困りの方に対する相談窓口も新たに開設されているようです。(→「新型コロナウイルス感染症の影響により機構の住宅ローンのご返済にお困りの方へのお知らせ」

また、金利に関しては、こちらのサイト「住宅ローン一括比較」が便利です。

期間や金額など、ある程度目星がつけば、実際に金利を比較検討して見ると、より分かりやすいかと思います。

次回は大人気「フラット35S」や「フラット50」について。

文字数もかなり増えてきましたので、本日はここまでにしておきますm(__)m

「フラット35」とは

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