不動産を手放した際の譲渡所得税につきまして、計算方法については記事「譲渡所得税の計算方法を解説します」で、期間の選び方や確定申告のタイミングなどについては「譲渡所得税の期間の選び方」で解説いたしました。
今回は、土地建物の取得価額の按分について説明したいと思います。
これもよく聞かれる内容で、最終的には弁護士や税理士の先生に頼んで処理をしてもらう場合が多いのですが、前もって知識として知っておくと、話し合いの際にも便利かと思います。
建物取得価額を小さくする
まず、前知識として、
価格=価値を貨幣で表したもの(=値段)
価額=値打ちに相当する金額(=価値)
さて、自宅を購入したの売買契約書に、建物と土地の「取得価額」の欄があります。
そこを見ると、それぞれの記載が無い場合がよくあります。
消費税だけでも記載があれば、そこから逆算すれあば建物の価額は分かるのですが(土地には消費税がかからないので)、それも無い時は、減価償却費も取得費も、計算ができません。
計算式は、
減価償却費=取得価額×90%×定額法の償却率
取得費=取得価額ー減価償却費の合計
譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費 + 譲渡費用)
そこで、合計額を建物と土地の取得価額に按分(分割)します。
合計額=土地の取得価額+建物の取得価額
そもそも、自宅自体の減価償却費は、経費としては計上されません。
なので、取得費を大きくするためには、「建物の減価償却費」が小さくなれば良いことになります。
建物の減価償却費が小さいということは、建物の取得価額が小さい=土地の取得価額は大きい、ということになります。
これを逆から読めば、
土地の取得価額を大きくすると、建物の取得価額が小さくなり、その分減価償却費も小さくなれば、合計の取得費は高くなり、譲渡所得(売却益)が小さくなる、結果、譲渡所得税は低くなる、というわけです。
按分する方法
図の例は分かりやすくしたものですが、それでも7:3か5:5で、これだけの差が出るんです。
これは按分が違うだけなので、ちょっと放っとけない部分かと思われます。
按分の重要さが分かっていただけたかと思うのですが、通常、中古住宅などの不動産売買では、総額しか記載されておりません。
それを仮に買主に有利にするために、極端に建物価格を大きくし過ぎたりすると、税務署でハネられます。
そこで、以下の方法により按分します。
①消費税から逆算
これは先ほども触れましたが、例えば、
土地建物:1億円(うち消費税500万円)
だとすれば、土地の価格は1億円ー500/0.1−500=4,500万円
建物は5,500万円(税込)ということになります。
②類似の不動産で区分された売買価格を使う
マンションなどの場合です。金額ある程度、年数によって決まってきますので、分かりやすい指標です。戸建ての場合、同仕様の建売りだと価額もある程度は近くなってきます。
福津市の光陽台団地や宗像市でも日の里団地、自由ヶ丘団地でも一部、見受けられます。
③固定資産税評価額を使って按分する
例えば、
土地建物:1億円
土地の評価:4,000万円
建物の評価:1,000万円
の場合、同じ比率で分ければ、
土地の取得価額:8,000万円
建物の取得価額:2,000万円
となります。
④建物の標準的な建築価額表を使って按分する
下の表を使います。
例えば、昭和63年築の木造、延べ床面積150㎡であれば、
116,500円×150㎡= 17,475,000円(建物の取得価額)
1億ー17,475,000円=82,525,000円(土地の取得価額)
最後に
そこまで難しくはなかったと思います
建物の取得価額が下がれば減価償却費も下がり、その分取得費も大きくなる=譲渡益が小さくなる、という構図を前提に、ご自分に適した按分方法で土地と建物の価額を記載すれば良いでしょう。
よく、売却後、私共に直接訪ねて来られる方もいらっしゃいますが、私共がお伝えしてるのは、原則的には近隣相場による按分、つまり全体から相場の土地価格を引いたものです。
それぞれ、ご自分の場合に当てはめて計算してみてください。
今日はここまでにしておきます♪( ´θ`)
また次回!