2022-02-10

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税に関して、本日は期間の選び方について説明します。
特に、所有期間5〜6年経過の不動産取引の場合、税率が倍ほど変わってきますので、期間をどう選ぶかについては、注意が必要です。
それでは解説していきます。

譲渡益が出れば…

前回(譲渡所得税の計算方法を解説します)、所有期間を計算するのは、ご自宅の売却日の属する年の1月1日時点での期間と説明しました。

譲渡所得税の所有期間について

判定時点は売却日が、所属する年の、

1月1日時点で5年以下であれば=短期譲渡所得=高い

1月1日時点で5年超であれば=長期譲渡所得=安い

つまり、売却しようとする際は、その年の1月1日時点での経過年数を気にしておけば良いことになします。

支払う義務のある税金は、

支払う税金=譲渡所得×税率

で計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費 + 譲渡費用)

です。

譲渡所得がプラス(譲渡益が出た)であれば税金を納めなければなりません。

売却日とは

売却日により確定申告をしなければならない年が変わってきます。

多いのは、

売却日=代金の決済を行った日

です。つまり自宅の引き渡し(鍵を渡した等)を行った日になります。

他に、

売却日=契約を行った日

とすることもできます。

これは自由に選択ができます。

確定申告する年は!?

さて、売却益が出て、確定申告を行うわけですが、この場合、売却日の翌年の確定申告(3月15日まで)で譲渡所得税を支払います。

これはよく、売買時に質問される点なので、図にします。

確定申告の期限

①と②を比較するとお分かりかと思いますが、課税期日が売却日の翌年の期日までとなってますので、売却日の設定により、確定申告の期限が異なるのです。

そこで、先ほどの、売却日を契約日にするか、引き渡し日にするかの違いが分かります。

上の図で、

①の場合は確定申告の期限まで96日

②の場合は確定申告の期限まで430日

です。

上の図の例では、

他の収入などとの関係上、その年の年度で確定申告したい場合は、年をまたがない契約日を売却日にした方が良いことになります。

また、その年の年度ではなく、次の年の収入に加算したい場合は、年をまたいだ引き渡し日を売却日にした方が良いことになります。

購入日の選択

先ほどの売却日と同様、契約日引き渡しを受けた日から選択することができます。

所有期間を出来るだけ長期にしたい場合は、契約を先に行いそのあと引き渡しを行いますので、

購入日=契約日

売却日=引き渡し日

とします。

ただし、マンション購入や請負によって一戸建てを建築する場合(土地を買って大工さんなどに建築を頼む等)、契約日から引き渡しまでの期間が長くなるため、購入日は「引き渡し日」しか選択ができませんので、ご注意ください。

購入日と売却日の選び方で変わる

購入日と売却日の選択

購入日を「契約日」とした場合、売却日として、

「契約日」を選ぶと、その年の1月1日で判定されますので、5年未満で短期譲渡所得(税率39%)となります。

年をまたいで「引き渡しをした日」を選べば、5年を超えますので長期譲渡所得(税率20%)になります。

ただ、もし購入日として「引き渡しを受けた日」を選んだ場合、5年後、売却日として「引き渡しをした日」を選んでも、その年の1月1日時点では5年未満なので、短期譲渡所得になってしまいます。

5〜6年経過の不動産取引の場合、購入日、売却日の選び方次第で税率が大きく変わってきますので、ご注意ください。

最後に

特に所有5〜6年の場合に注意が必要なことがお分りいただけたかと思います。

購入日については、自由に選べない場合もありますので、その場合は売却自体を少し遅らせる必要があります。

とはいっても、不動産売買は急を要する場合もありますので、そういう場合は引き渡し時期について買主に相談してみるのも一つの方法でしょう。

ただ、買主の都合もありますし、それが心変わりのきっかけになってもまずいので、まずは間に入ってる仲介業者に相談し、そういう方法が取れるのかを伺ってみると良いと思います。

何れにしても、自分が居住してた場合は、「3000万円特別控除」がありますので、それほどこのことで悩まれる方はいないのですが、借家用の戸建てや、投資用などの場合に、この「期間問題」が出てきます。

心当たりのある方は是非、気にしてみてください。

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