2022-02-06
定期借家制度とは
定期借家制度とは
従来あった賃貸借契約は、「正当な事由」がない限り、貸主から契約の更新拒絶や解約の申し入れはできませんでした。
これに対し、定期借家契約制度(定期建物賃貸借)とは、契約で定めた期間が満了することにより、更新されることなく、確定的に賃貸借が終了する建物賃貸借のことを言います。
ただし、賃貸人及び賃借人双方が合意すれば、改めて再契約をし、引き続きその賃貸借を継続することも可能です。
活用方法は!?
定期借家契約は、例えば、転勤時に自宅を一時的に賃貸したい場合に活用できます。
また、高齢者が所有する一戸建て住宅を賃貸し、その賃料収入を活用して高齢者用のマンションなどに住み替える場合にも、安心して使うことができます。
ただし、この契約は公正証書などの書面により行わなければなりません。口頭のみによる契約の場合には、定期借家契約ではなく従来型の借家契約となってしまうので要注意です。
これまでの借家契約との比較
<契約方法>
従来の借家契約
→書面でも口頭でも可能
定期借家契約
→公正証書などによる書面に限る
→「更新がなく、契約の満了により終了する」ことを契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければならない
<更新の有無>
従来の借家契約
→正当な事由がない限り、更新される(出ていく必要はない)
定期借家契約
→定められて期間満了により終了し、更新はない(出ていかなければならない) ❇︎ただし双方合意により再契約は可能
<建物の賃貸借期間の上限>
従来の借家契約
→2000年3月1日より前の契約は20年、後の契約は無制限
定期借家契約
→無制限
<期間を一年未満とする建物賃貸借の効力>
従来の借家契約
→期間の定めのない賃貸借とみなされる
定期借家契約
→契約可能(効力あり)
<建物賃借料の増減に関する特約の効力>
従来の借家契約
→特約に関わらず、賃貸人、賃借人双方から賃料増減の請求ができる
定期借家契約
→特約の定めに従わなければならない
<中途解約について>
従来の借家契約
→特約に定めがあればそれに従うこと
定期借家契約
→床面積が200㎡未満の居住用建物で、やむを得ない事情があり、生活の本拠として使用することが困難となった借家人からは、特約がなくても法律により中途解約ができる
→上記以外の場合は、特約に定めがあればそれに従うこと
最後に
自分がオーナーになり、部屋や家を賃貸人として他人に貸す場合、トラブルの一つとなるのが、「出ていってもらいたい時でも、なかなか出ていってくれない」というのがあります。
もちろん、入居があることは嬉しいことなのですが、こちら側の都合や、相手型(賃借人)の問題などで、途中で契約を解約したい場合も当然あり得ます。
これが通常の借家契約ではそれなりの理由が必要なのです。
この「それなりの理由」を法律用語で「正当事由」と言いますが、従前の経緯、土地・建物の利用状況、立退料の提供などから、最終的には裁判所が裁判に委ねられています。
これまでの判例を見てみると、どうしても借りてる側に有利な判決が出ることが多く、これは「賃借人(借地人、借家人)を守る=賃借人保護」という考え方が根っこにあります。
そこで、そういった問題をあらかじめ担保する目的も含め、ここ最近、宗像市や福津市内でも増え始めている「定期借家契約」ですが、だいたい当初は5年ぐらいから始める契約が多いようです。
期間は自由に定めることができ、それぞれのライフスタイルに合わせた格好で空き家の活用をしていただくことができますので、現在普通借家で契約されてる方、もしくはこれから賃貸オーナーになられる方、ご参考にされてみてはいかがでしょうか。