2021-07-23
田中角栄さんの言葉で、とても印象に残るものがあります。それは、
「世の中は、嫉妬とソロバンだ」
です。このあと、
「インテリほど嫉妬心が強く、人は損得で動く」
という解説が続きます。
嫉妬、ソロバン、今の時代はさらに”承認欲求”が付くのではないかと思います。
SNSで誰もが情報発信できる今、ひとたびインターネットに触れれば一億総ジャーナリストみたいな世の中になっており、多くの注目を浴びれば課金されるシステム(広告収入)まで出来上がってしまってるので、マズローの欲求5段階説の第4段階目「承認欲求」と「物欲」が、個人の発想と指先で手軽に満たされてしまう社会になりました。
最近よく聞く「生きづらさ」は、この辺りにも一因があるのではないかと思うのです。
嫉妬心を解消するために個人の欲求(と金銭欲)を満たす目的で、正しいか正しくないかではなく、よりセンセーショナルな情報をいかに早く、分かりやすく、面白い表現で発信するかに人々は傾注し、その発信力で力を付けた人間(支持者を獲得した者)はインフルエンサーとしてまたさらに力を増幅させ、その後はローリング現象を起こします。
すると、「情報の正しさの有無」という最も部分より、「どれだけ多く情報が拡散したか」が問われるようになっていきます。
このような現象で、ある情報が爆発的に拡散することを現代用語では「バズる」と言いますが、そこに目を付けたのが既存メディア、いわゆるマスコミです。
正しい情報より、「バズる」情報の方が、手軽に支持者(視聴者)と広告収入を得られるため、情報の正しさより”インパクト”や”話題性”ばかりを追うようになってしまいました。
そして彼らインフルエンサーとマスコミの影響により、今の世の中は誰も彼もが言い放題になり、バズった情報が「空気」として伝染し、そこから見えない「掟」が作り出される社会になってしまってます。
日本では、民主主義がアメリカほど浸透しておらず、絶対的な神も存在しないため、その「空気から作り出される掟」が最優先されます。
この「掟」は、言い方を変えると、
なんとなく決まる、みんながやってるからそうする、批判されないためにやる
↑これです。
この「掟」は日本では強大な力を持っており、一旦広がれば法律・憲法なんてお構い無し。
正しいか正しくないかはもちろん、科学的根拠も必要ありません。
民間が民間に対し、「移動の自由」「営業の自由」「財産権」にまで介入してきます。
私はこれが大嫌いで、かつ大変危険なことだと思うのですが、ここで冒頭の角栄さんの言葉をもう一度。
「世の中は、嫉妬とソロバンだ」「インテリほど嫉妬心が強く、人は損得で動く」
インターネットやスマートフォンが急激に浸透したために、人々がその速度について来れておらず、元々「嫉妬と損得勘定」に塗れた世の中が、さらに「目に見える形で姿を現した」のが今ではないかと思うのです。
でも悲観することはありません。人はいつか慣れますから。テクノロジーの進歩が早すぎて、ちょっと今は人間が追いついてないのかもしれません。
嫉妬や妬み、損得勘定、承認欲求は、いづれも「他者」との比較にあります。
魅は与によって生じ、求によって滅す
これは、「見返りを求めたり、損得勘定で考えず、他人にどれだけの事を与えることが出来るのか。そういう思いやりをもてる人が一番輝いて見える(魅力がある)」という意味で、今の世の中では特に心がけたい言葉じゃないかと思うんです。
❇︎細かいことを言うと「魅力的に見られること」自体が「見返り」になっているので、それすら求めちゃいけないのですが
ちなみに角栄さんの上の2つの言葉の後には、こう続きます。
「一日の苦労は一日にして足れり。食って、寝て、嫌なことは忘れるのが一番」
ちょっと生きづらい世の中かもしれませんが、諸行無常、物事はいづれ移り変わります。
今は少し我慢をしつつ、今日開幕の、おそらく今の私たちの現世では最後になる「国内オリンピック」をしばらく楽しみたいと思いますm(_ _)m