2020-03-12
ブロック塀の危険性について
事故や大きな被害の恐れも
住宅の周囲や境界に使用されることが多い「ブロック塀」。普段あまり気にすることがないのですが、この「ブロック塀」の倒壊による人身事故や器物破損事故、隣地とのトラブルが絶えません。
不動産取引において、特に注意しなければならない点の一つなのですが、その理由としては取引後、数年経ってからのトラブルの原因が「不動産売買契約」時に遡ることがあるからです。
事例としては、
・ブロック塀が越境しており、相続により所有者が変わった後、それをどちら側の負担で建て直すか
これだけ聞くと、単に「契約時の人的ミス」のように思われるかもしれませんが、それがそうでもないのです。
ブロック塀は、基本的には地中深く掘削し、そこにわずか十数センチの幅のものを置き、土で両側から挟んでるだけです。
地面というのは周りの土地に何トンもの重さの重機が入ったり、土を削ったり盛ったりする中で相当な圧力が加わり、それが伝わってブロック塀が微妙に動いたり、割れたりして越境してしまうことがあるのです。
契約時には越境してなくても、その後何かしらの力が加わることで越境していることもよくあります。
その時の費用負担も、程度により異なりますが、一部でも数万円。10メートルほどやり替えるとなると数十万円になることもあります。
その他、ブロック塀が倒壊し隣の家の車を傷つけたり、通行人への被害など、想像しただけでもゾッとしそうです。
【住宅地の擁壁を補強するための掘削工事中に擁壁(ようへき)が倒壊した事例】
高低差のある住宅地の既存の擁壁を補強するため、当該擁壁の基礎部分を掘削し、新しくコンクリート擁壁を設置する作業中、土砂とともに擁壁が崩壊し、作業員が生き埋めとなり死亡。
種類
ブロック塀の危険性
ブロック塀は大きく分けて2通りあり、それぞれで建築基準法上の制限が異なります。
「補強コンクリート造ブロック」
空洞コンクリートブロックを鉄筋で補強し、壁頂部を鉄筋コンクリート造の梁でつなぎ一体化した形式の構造。
高さ2.2m以下
厚みは10~12cm以上、2mを超える場合は15cm以上
控壁は3.4m以内ごとに塀の高さの5分の1
「組積造ブロック」
石やレンガ、コンクリートブロックなどをモルタルで接着し、上に積み上げて壁体をつくる構造。
高さ1.2m以下
厚みは建築されるブロック塀の高さの10分の1以上
控壁は4m以下の間隔で、60㎝以上突出してるもの
普段からのチェックを!
雨水の浸水により地盤が変化していたり、ブロックそのものの耐久性が弱っていたりすることで、倒壊事故などを起こします。
過去、地震や事故などをきっかけに何度か法改正があり、特に1981年の法改正では、高さの制限が大幅に下げられ、厚さの規定や、控壁による補強もなされるようになりました。その後2001年にも法改正があったのですが、この時の改正はブロック塀に関しての数値的な基準は変更がありませんでした。
宗像市や福津市には、1981年以前の建物もまだ多くあり、家そのものを建て替えてもブロック塀はそのまま、という場所もたくさんあります。
また、2000年以降のブロック塀でも劣化してたり、地盤の歪みで危険な状態になってることも間々ありえます。目視でも結構ですので、チェック項目として
・高さ、厚み、控え壁が立地基準を満たしているか
・ヒビ割れ
・膨らみや凹み
・全体的な傾き
・隣地との越境(境界杭がある場合は目視で)
・基礎部分の状態(地面には20cm以上埋まっていること)
宗像市も福津市、撤去に関しては補助金制度もありますので、詳しくはお問い合わせ頂くのがベストかと思います。
最後に
ブロック塀の危険性
地震などで取り上げられることも多くなった「ブロック塀」の立地基準や耐久性の問題ですが、特に最近は「大雨」が多く、毎年のように夏〜秋にかけて災害が発生しています。
その時は倒壊していなくて、地盤深くで浸水していたり、中の鉄の筋交いが錆びていたり、コンクリートそのものが弱っていたり、という事態もありるのです。
それが、何かのきっかけ(近隣の工事や揺れ)で事故につながってしまったり、特に、ブロック塀が土留めに使われている場合が大変危険と言われてます。よく、山道などをドライブしていると、山の斜面のコンクリートがヒビ割れたりしてるのをお見かけされることもあるかと思いますが、アレです。
ズルっと滑って家まで被害を被る、なんてこともあり得るのです。そして何より人への被害は甚大なものになります。
危険性をあおるつもりは無いのですが、何かが「起こってから」では遅いので、今一度チェックしておくのも良い機会かと思われます。