2020-02-21
チェックリストを慎重に!
週明けはとても寒かったのですが、ここ数日は2月とは思えない天候で、我が事務所は真西に向いているということもありまして、昨日は午後過ぎから初の冷房を入れさせていただきました。
こちらの事務所も賃貸でお借りしている物件でございますが、冷房も暖房もしっかり効いてくれてます。
その他の設備も問題は特に問題はないのですが、一つだけ、「テレビのアンテナ」が電波受信できてません(><)
仕事中にテレビを観ることは無い(ほぼ)ので、特に気にはしないのですが、これ、通常であれば家主に補修の義務が生じます。
こちらは賃貸物件ですので、私の方で手配し後から請求という形で済むのですが、これが売買物件であれば、そう簡単にはいかないこともあります。
その辺りを本日は解説してみましょう。
売買契約時までに「付帯設備表」「物件状況確認」の記入を!
付帯設備表
物件状況報告書
こちらは不動産会社が加盟している団体などで書式が違ったりしているものですが、不動産売買をする際、何を撤去し何を残すかをチェックシートで記録し、売主買主双方で署名捺印して残しておくものです。
「付帯設備表」では冒頭に、
売主は、「設備の有無」欄に「有」とした各設備を買主に引渡します。ただし、引渡す設備には経年変化および使用にともなう性能低下、キズ、汚れ等があることをご了承ください。「設備の有無」欄に「無」としている設備は、該当するものがないか、または売主が引渡しまでに撤去するものです。
とあります。
また、「物件状況確認」では、
売主は、売主が現在知っている売買物件の状況について、以下のとお買主に説明いたします。売買物件には経年変化に伴う変化や、通常使用による摩耗・損耗等がありますのでご承知おき下さい。なお、売主が責任を負う瑕疵(欠陥や不具合のことをいいます。)の範囲は、売買契約書に記載されたとおりです。
とあります。
なかなか細かいもので、見るとうんざりするかもしれませんが、一応載せておきます。
売買時におけるトラブルは!?
さて、この2つを記入していただくことが一般的で、先日の「民法改正」の記事でも書きましたが、今後はより必要度が増しそうなものでもあるのです。一般的に不動産売買では「重要事項説明書」と「売買契約書」の2つに署名押印いただくのですが、それらに匹敵するほど、トラブル回避のために必要なものがこの2つの表になるのです。
実際に起こりうる、また起こったトラブル事例と致しまして、
・ 外の蛇口から水が出ない→水が出るよう、買主が売主に請求
・ エアコンが付帯するものと思ったら、売主が撤去してしまった→その費用分を仲介業者が負担して仲裁
・ カーポートを撤去→高額なので、半金で和解
などなど、枚挙にいとまがありません。
いずれの場合も、最終的には金銭解決が多いのですが、そこに至るまでの過程においては双方ストレスも溜まりますし、売った方も買った方も気持ち良くありませんよね。
トラブル回避の万能薬は無い
そこで、この2つの記入があれば、どのようなリスクヘッジがあるのか、という点ですが、簡単に言えば、記載しているものについては責任を負わなくて良いというものです。売主が開示し、買主側がそれを承諾したという書面になりますので、それが「隠れた瑕疵」には当たらず、瑕疵担保責任から免れるという理屈です。(瑕疵担保責任は今年の春からは「契約不適合責任」と名称が変わります)ところが、「雨漏り」「シロアリ被害」「給排水管の腐食」については、まず確認のしようがありませんよね。
例えば
1, 契約時には雨漏りは無かったが、引渡し後、雨漏りが発生した
2, 目視できる範囲でシロアリの被害は見当たらなかったが、増築時、壁を剥がしたらシロアリ被害があった
3, 地中なので確認ができず、数年後、管が破裂し被害が出た
こういうものです。怖いですね。
そこで、不動産売買契約では一般的に、
・ 給湯、水回り、空調に関して付帯するものについては1週間
・「雨漏り」「シロアリ被害」「給排水管の腐食」については3ヶ月
とする場合が多いです。もちろん「瑕疵担保責任は負わない」とする売買契約も有効ではあるのですが、損害が大きな場合や、売主が把握していた場合(民法で悪意と言います)などは、売主の負担という判例もあるのです。
つまり、この「付帯設備表」と「物件状況確認」があっても、全てをまかないきれるわけではないのです。
中古住宅の取引で気をつけること
賃貸の場合でも売買の場合でもそうですが、そもそも中古です。「通常買主が期待する機能が備わっていなかった」場合は、当然売主が負担するべきではありますが、そもそも“中古が新品と同じわけはないのです”。
また、よく他のブログでも見かけますが、一つ一つを羅列して確認するものももちろん良いのですが、それってとてもキリがないことです。
見た聞いた触った感触も、捉え方も、その時々で変わりますし、ニュアンスも人それぞれです。とは言え、トラブル回避のための策の一つとしては、有効であることは確かです。
結局のところ、お互いに真摯に取引に向かい合ったかが、一番重要視されるということです。
売主側は物件やチェックリストについてもありのまま、知ってることを記入し、買主側もそもそも中古であることを理解し、お互いが歩み寄ることで、大体の問題は解決します。私ども不動産会社としても、双方が揉めないよう、気持ちよくお取引が終わり次のステージに進めるよう、お手伝いさせていただきます。