孤独死とは

高齢化の進む日本において、住宅に関する問題の一つに挙げられるのが「孤独死」です。
孤独死とは、

誰にも看取られずに一人で死亡すること

です。よく似た用語で「自然死」というものがありますが、これは病気・事故・殺害・自殺などにはよらない死、いわゆる老衰のことを指します。

孤独死が「亡くなった状況」を示すのに対し、自然死は「死因」の一つとも言えます。

事故物件として扱われる孤独死

一般的に家の中で「孤独死」が起こった場合、その家の現実的な価額が下がってしまうのではないか、という疑問があるかと思います。

これは、状況により異なります。
①家の築年数
②マンション等の区分所有建物
③必要な清掃の規模

これらの要因に併せて、その孤独死が事故物件となり得るのか、という点において、不動産の価格(または価額)が異なってきます。

一般的に不動産で言うところの事故物件とは、心理的瑕疵のある物件のことで、具体的には

不動産の買主(借主)の判断に重大な影響を及ぼす事実、たとえば「殺人」「自殺」「火災による焼死」など、病死、老衰以外の通常では起こり得ないような不自然な死が発生した不動産、もしくは「特殊清掃が必要になる死」が発生した不動産のこと

です。心理的瑕疵とは、「それを知っていれば該当物件の売買(賃貸)契約をしない」といわれるもののことです。
例えば、老衰は通常は自然死と扱われますが、誰にも看取られず発見が遅れて孤独死となり、大規模な清掃が必要になった場合は事故物件として扱われます。
マンションなどの区分所有建物の場合、下の階への影響があったり、周囲の噂や人目に付く機会が多くなるなどの副次的な要因が絡んできます。
人気のあるエリアや築年数の浅い物件などでは金額自体に大きく影響が出ない場合もあるので、事故物件として扱われるからといって、一概に査定価格が安くなるとは言えません。

事故物件による不動産価格の下落

あくまでも一般的な目安として、事件性の高い殺人で5割下落、自殺で3割、清掃などが必要な孤独死の場合で1〜2割と言われてます。
ただ、前の項でもお話しした通り、引き合いの強い人気エリアや築浅物件などではそれらの影響も薄くなる傾向があります。

また、賃貸物件の場合は一定期間を経過すれば事故物件としての告知義務もなくなり、賃料に影響しなくなることもあります。

事故物件であるか否か、告知義務の範囲も含め、国土交通省が令和3年(2021年)新しくガイドラインを策定しております。

新しくなったガイドラインとは!?

(別紙2)宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

孤独死の状況にもよりますが、自宅で亡くなる数の増加に伴い、事故物件として扱われるケースも今後増え続けることも予想されます。
そこで、新しく策定された国土交通省によるガイドライン。
正式には「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」で、「取引の対象不動産において過去に生じた人の死に関する事案における、宅地建物取引業者による適切な調査や告知に係る一定の判断基準が定められてます。

告知義務に関して、原則としては、

宅地建物取引業者は、人の死に関する事案が、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼ すと考えられる場合には、これを告げなければならない

とされてます。
告げなくても良い場合としては、
◆不慮の死(事故など)
◆特殊清掃等が行われた
◆事案発生から概ね3年間が経過した後
◆通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した場合 ※事案発覚からの経過期間の定めなし

などのことが定められてます。
ただし、なんでも告げなければならないか、というとそういうわけではなく、

亡くなった方やその遺族等の名誉及び生活の平穏に十分配慮し、これらを不当に侵害することのない ようにする必要がある、

とされてます。

(別紙2)宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

 

孤独死の対策

前述した通り、孤独死が全て事故物件となるわけではありませんが、発見が遅れた場合等で告知義務が発生すると、売買物件では価格の下落、賃貸物件では家賃滞納及び減額、近隣からの苦情対応などが発生します。
できる限りの対策としては、

◆ホームセキュリティ
◆近隣住民とのコミュニケーション
◆緊急連絡先や連帯保証人、相続人等の連絡先の確認
◆孤独死保険への加入(賃貸)

などが挙げられます。最後の「孤独死保険」については、空室期間の家賃補償や原状回復費用(上限あり)など、商品内容の方も充実してきておりますので、お悩みの方は是非ご検討されることをお勧めします。

まとめ

孤独死の死因の65%以上は病死です。死因が不明(22%)となってる中にも病死があるので、実際は7〜8割とも言われてます。
また、東京で発生した孤独死の40%は、20〜50代だったというデータもあり、決して高齢者だけの問題ではありません。

年々増え続けている「孤独死」によるリスクは、交通事故による死亡リスクの27倍とも言われており、賃貸物件で病死による孤独死が起きた場合、その費用負担(原状回復や残置物処理など)は賃貸人、つまり家主となります。
売買物件の場合だと相続人ですが、相続人が複数いる場合は不動産の処分をどこまで行うかについて、金額で折り合いがつかないケースもあり、さらに遺産分割協議も同時進行で行わなければならなくなるので複雑です。

新ガイドラインにより、事故物件との境が多少は明瞭になったような気もしますが、不動産取引における心理的瑕疵の範囲は判例に依るところが大きく、新ガイドラインに沿った判例がある程度増えるまでの間は、後々のトラブルを避ける意味でも、結局は告知せざるを得ない状況だと言わざるを得ないのが現状です。

一人暮らしのご家族がいらっしゃる方は、是非日頃からの対策をご検討ください。

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不動産取引における孤独死の問題を考える

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