令和地建株式会社
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2020年03月21日
政治・経済・社会・心理学その他

ポイント還元を利用してしまう仕組みとは

新型コロナ問題で、お忘れになってる方も多いかもしれませんが、昨年10月の消費増税とともに始まった「ポイント還元」。

国は、キャッシュレス決済をやたらと勧めてきたり、「お得なクーポン」だとか「プレミアム付き〜」とか色々あるようです。

私は個人的に全く興味がなく、不要なものは買わない、欲しいものは買う、結果、ポイントが溜まったのであれば、使わせてもらうぐらいの感覚です。

それより、政府がこの「ポイント還元」をやたらとキーワードに使ってることに興味があります。

そこで、行動経済学的に、少し調べてみました。

「ポイント市場」は大きくなるばかり

このポイントサービス、ほとんどの方がご存知だと思いますが、商品やサービスの購入に応じて、一定の割合でポイントが計算され、それが次回以降の購入の際に「お金」として使うことができる、というものです。

飛行機の利用で貯まるマイレージも有名ですが、こちらは搭乗した飛行機の飛行距離のマイル数をポイントにして、貯まったポイントで商品が買えたり、無料航空券と引き換えや座席クラスのアップグレードなどに使うことができるサービスです。

1997年に始まったのですが、これが大きく広がり、現在ではクレジットカード会社や銀行、百貨店、コンビニエンスストア、携帯電話料金などともコラボし、マイルやポイントが相互に貯まる仕組みが作られてます。

このポイントサービスの仕組み自体は2000年代半ば頃から広がり始めたのですが、目的は「顧客の囲い込み」です。

一回一回の商取引で「終わる」のではなく、その後の関係も続け、顧客として管理しようという店側、売る側の思惑で始まり、広がっていきました。

このころはちょうどインターネットによる通信販売が盛んになり出した頃で、顧客を囲い込む手段として、また買う側もそれなりのメリットが感じられる仕組みであった為に、急速に普及していきました。

今では財布の中がカードだらけで、ヤフオクやメルカリでもポイントが貯まり、どこに買い物に行ってもレジで「〇〇カードはお持ちですか?」と聞かれることが普通になってきております。

その内、中洲の屋台でも聞かれるようになるのでしょうかね。

従来の「ポイントサービス」は

このポイントサービスの元は実はずいぶん以前からあったもので、「ある商店街でしか使えない券」や、もっと古くは「馴染み客だけへの特別サービス(割引)」などです。

これらも典型的なある種の「囲い込み」ですが、なぜか異様な「お得感」を感じましたよね。

やはり、インターネットやクラウドを使ったサービスより、人と人の触れ合いのあるサービスでないと、温かみがなくて寂しさを感じてしまうのでしょうか。

商店街や馴染み客への「サービス」ポイントは、

いつもありがとうございます!これからもご贔屓に、よろしくお願いします!

こんな心を感じますが、今のポイントサービスは、そういうものはないですからね。それより

ポイントがついて得するので、得したいんだったらいかがですか?

こんな思惑を感じてしまうのはうがった見方でしょうか。。すみませんm(_ _)m

とは言え、買う側のメリットを意識しすぎるがあまり、心の通じ合いが無くなってしまってるのは事実だと思います。

時代の流れで、GDPが成長せず、実質賃金は落ちっぱなし、需要は伸びず、供給は増え…だから買い手市場が加速して買い手側の都合で市場が形成されてきた、、そんな経済状況はさておき、なぜこのようにポイントサービス市場が際限なしに拡大するのか、それは行動経済学で説明がつきます。

ハウスマネー効果とは

フレーミング効果という心理作用の中に、「メンタルアカウンティング」とういバイアスがあり、その中の心理的効果の一つとして「ハウスマネー効果」というものがあります。

これは、簡単に言えば、幸運で得たお金は、努力して得たお金よりその価値を低く見積もってしまう心理効果のことです。

この「ハウス」というのは「カジノ」という意味です。例えばカジノなどギャンブルで得たお金は、また次のギャンブルに使ってしまい、最終的には損をしてしまう。他には、宝くじで当たったお金でまた宝くじを買って結局負けたり、たまたま引き出しから出てきたお金を無駄遣いしてしまったり、結構日常でよく起こりがちな行動パターンなんですね。

では、なぜ人はこのような見積もりかたをしてしまうのか、それを噛み砕けば、ポイントサービスの心理効果も見えてきそうです。

仮に、1万円賭けて2万円勝ったとします。財布からは1万円出て行きましたが、2万円入ってきたので、トータルでは1万円の利益です。そこでやめておけばいいものを、この利益1万円を安く見積もりまたその1万円を賭けて(使って)しまう、というのがハウスマネー効果の例ですが、なぜ低く見積もってしまうのか。

①1万円賭ける(使う)

②2万円勝つ→1万円利益がでる(手元には2万円)

利益の1万円を再び賭ける(使う)

それは、人は1万円を賭けて2万円勝って1万円の利益が出たことを一括りにして見てしまうからです。

2万円勝った時点で一度リセットしておけば、「今手元に2万があり、そこから1万円を使う」という行動は「1万円のマイナス」です。

ところが人は「2万円勝ったのちの利益の1万円を使ったのだから、得した分が減少した」と見るのです。

これが博打のワナです。

勝ったところでリセットせず、一連のものとして見てしまうので、③をマイナスと見ることができないのですね。

逆にこれをマイナスと見ることができれば、②で止めることができたはずです。

「浮いた金(あぶく銭)だから使ってしまおう」というわけです。

同じ1万円の価値に変わりはないはずなのですが。

これをポイント還元に当てはめると

例えば10万円の買い物で10%(1万円)のポイントがついたとします。

①10万円の買い物をした(10万円の損)

②1万円のポイントが付いた(1万円の得)

10%ポイント還元というと、10%得をしたように思いがちですが、そのポイント1万円を次回の買い物で使うと、11万の出費で1万円分のポイントが付いたのと同じなので、10%得をしたのではなく9.1%(1÷11)の値引きです。ポイントの使用分にポイントはつかないのでこうなるんですね。

このことからも政府の「消費増税分5%はポイントで還元!」が嘘だということがわかると思います。

別の例でいうと、

「消費税10%、ポイント還元率が5%という状況で、1000円を使った場合」

1000×110 %×5%= 55円分のポイントが付きます。(1ポイント=1円であった場合)

その55円のポイントで買い物をします。

結果、使ったお金(ポイント分も合わせて)の合計は最初の1000円×110%と55円で1155円です。

1155円の出費で55円のポイントなので、55÷1155=4.76%

実際には4.76%しか還元されてません。

話を元に戻しまして、人は②の1万円のポイントが付いた(1万円の得)ことに喜びを感じます。同じ値引き率9.1%で、仮に90900円で買ったとしても、同じ率で値引きされてるのに、1万円のポイントが付いた「お得感」の方に優越を感じてしまうのです。

これはフレーミングにおけるバイアスがかかったポイント還元が喜ばれる心理的な仕組み「貨幣錯覚」と言います。

しかもそのポイントが加算されていくと、その錯覚はより大きくなります。実際はその分の出費が過去にあってるのに、そのことを忘れて、たまったポイントのみ(名目値)に着目して、それを使うときの「お得感」に喜びを感じてしまうのです。

最後に

いかがでしたでしょうか。

ざっくり言うと、人は、

浮いた金は無駄に使ってしまう

ハウスマネー効果

使ったお金を実質値でなく名目値で見て損得の判断をしてしまう貨幣錯覚

この2つが、人間が「ポイント還元」についハマってしまう大きな原因なのです。

逆に、人の心理をうまく利用した仕組みで、よく効く商売のカラクリとも言えるでしょう。

また別の意味ですが、「ポイント還元セール」に行くと、無駄に別のものまで「ついで買い」してしまったりもしてしまいます。

そういった落とし穴のような売り文句や引っ掛けがあちこちにありますが、是非皆さまも騙されたり、あぶく銭を無駄に使ってしまうことのないよう、お気をつけくださいね!

そういえば私昨日、部屋で見つけた千円をUFOキャッチャーで使い果たしてしまいましたが…

 

 

 

 

この記事を書いた人
薙野 秀貴 ナギノ ヒデキ
薙野 秀貴
お釈迦様の有名なエピソードですが、ある日弟子が「良き友を得ることが聖なる道の半ばだと思えるのですが?」と訪ねたのに対し、お釈迦様は「道半ばではない、聖なる道の全てだ」と答えたそうです。ここで言う「良き友」とは、人生上で起こる様々な苦しみや悩みから解放してくれ、同時に学びや喜びを共感してくれ幸せを気づかせてくれる存在です。それは時に上司だったり部下だったり、先生だったり師匠だったり、旦那さんや奥さんであったりするかもしれません。それをお釈迦様は人生で最も尊重しうる「友」としたのですね。 インターネットやSNSの浸透で、より早く、より膨大な量の情報、そして人へのアクセスが可能になりました。 その中から種々選択する毎日に追われ、現代は、情報化社会から選択社会になったかのように感じてしまいます。 令和が始まったそんな時代、我々も不動産という仕事を通じて、皆様にとっての「良き友」に少しでも近づくことができるよう、努力して参りたいと思っております。
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