令和地建株式会社
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2020年03月15日
不動産知識

悪しき慣習「囲い込み」とは

どうしても怪しいイメージがつきまとう不動産業界。「地上げ屋」という聞いて良いイメージを持たれる方は少ないと思いますが、強引な手法を使って立ち退きを迫るなどして、土地やマンション一棟を「安く買って高く売る」などをしていた不動産会社やその関連企業が、バブル期に横行しました。

土地や建物の値段が実際の価格(物価に連動した正常価格)を上回るペースで「高く」なることをバブルと言いますが、こういう時期は、それほど手間をかけずに(楽して)お金儲けをしようとする人たちが、必ずいるのです。いつの時代でもいます。(ちなみに、現在は仮想通貨の業界に蔓延ってますのくれぐれもご注意ください!)

そんな中、長い年月をかけた不動産業界の自浄努力により、最近ではだいぶんクリーンになってきたように思います。これは大変素晴らしいことだと思います。

日本ではハトのマークの全国宅地建物取引業協会連合会、うさぎのマークの全日本不動産協会という2大団体を中心に、悪質な業者によりお客様が被害に遭うことの無いよう、様々な取り込みを行ってきました。

我々普通の業者からすれば、「そんなの当たり前でしょ」と思うようなことでも、バブル時代に失った信頼を取り戻すためにということで、協会から要求されたことに従い、取引を行ってきた経緯があります。

《全日本不動産協会とは》公益社団法人全日本不動産協会は、建設大臣より設立許可を受けた公益法人で、昭和27年6月10日「宅地建物取引業法」が初めて公布されたのを機に、同年10月1日設立された業界最古の歴史を誇る全国に47の都道府県本部を持つ不動産業者の全国組織です。
本協会は、不動産が産業の基盤であり、土地や宅地建物の供給及び流通が国民生活の根幹をなすとの認識のもと、消費者の安全と公正を確保し、その有効利用を促すなど、社会への貢献と業界の健全な発展に寄与するよう活動しています。
さらに、本会は、公益法人制度改革に伴い、内閣総理大臣から、公益認定基準に適合する団体であると認められ、「公益社団法人」として認定を受け、平成25年4月1日からは、「公益社団法人全日本不動産協会」として活動しています。(全日本不動産協会HPより)

とは言え、不動産業界には悪しき慣習がまだ残っています。その一つが「囲い込み」です。これは業界では当たり前のような言葉になってますが、一般のお客様は知らない方もいらっしゃるかもしれないので、その内容を説明したいと思います。

これが分かれば、物件を探すときにも、売却を依頼するときにも役立つと思います!

 

「両手取引」とは!?

「囲い込み」という言葉から想像できそうですが、まずは不動産業者の仲介手数料の仕組みから説明します。

不動産業者は、まず売主となるお客様から売却を依頼され「媒介契約」を結びます。これは、「売却頼んだよ!」というだけの契約です。不動産業者は、お預かりした物件をポータルサイトや広告などを使い宣伝し、買主を募集します。✴︎媒介契約にも種類がありますが、それはまた別記事にて

買主が一般の方であれば、不動産業者は、売り手と買い手の両方の仲介をすることになります。

一見、売り手と買い手の両方の代理人は民法でいう「双方代理」にあたり、利益相反行為となるため、禁止なのでは!?と思われるかもしれませんが、実際には、それぞれと「媒介契約」をしているのであり、代理人としての契約とは異なります。

また、不動産取引においては売買を成立させるための条件について「折り合い」をつけなければならず、その落とし所を見つけるのが主な仕事になりますので、現実には利益相反にはならないことがほとんどです。

下図でいうと、B不動産が、AさんとCさんの間に入り、交渉をまとめる形になります。当然、金額だけではなく、瑕疵担保責任(4月からは「契約不適合責任」)の問題や、手付け、危険負担、相続、融資の条件等々、様々な要素が絡みます。

このパターン①の形態は、売主側からと買主側両方から仲介手数料を頂ので、業界の用語で「両手」と言います。

「片手取引」とは!?

また別のパターンとして、買主側に不動産業者Dが付く場合があります。これは、

・買主が不動産業者Dに物件を探すよう依頼した場合

・買主がポータルサイトで見つけた物件を不動産業者Dに持ち込み、媒介を依頼した場合

・不動産業者Dが物件を見つけ、買主へ紹介した場合

主には以上のようなパターンがあります。不動産業者Bは、売主からのみ仲介手数料を頂く形になり、不動産業者Dは買主より仲介手数料を頂く形になります。それぞれの業者が、売主買主ぞれぞれ一方から仲介手数料を頂くので、業界の用語で「片手」と言います。

仲介手数料は、売買代金×法定利率なので、売主から依頼された不動産業者(元付と言います)は、当然「両手」を狙うのです。言い方を変えれば、直接、買主との媒介に入りたがるのです。これが理由で悪しき慣習が発動されるのです。

 

なぜ「悪しき」なのかと言いますと、上図で説明すると、B不動産が自分で買主を見つけたいが為に、D不動産からの問い合わせをうやむやに処理するのです。実は裏でこのようなことが横行しています。とても多いのです。

このうやむやにする方法ですが、私が実際に電話口で言われた事例として、

「他に検討されてる方がいらっしゃるんですよね〜」

「まだリフォーム中なので〜」

「今買い付けが入っておりまして、販売中止になってます〜」

「担当者が不在なのでまた折り返します〜」(当然かかってきません)

当然、中には本当の場合もありますので、一概には言えませんが、電話口の応対でだいたい分かります。「他業者に紹介したくないんだな、両手が欲しいんだろうな」と。

ただこれ、売主Aさんにとっても、買主Cさんにとってもメリット無いですよね。

間に入ってる業者(媒介を依頼した業者)が両手取引だろうが、片手取引だろうが、お客様が払う仲介手数料は同じなのですから。

一方的に、B不動産の都合だけなのです。これを囲い込みと言い、「悪しき」慣習となって、未だに散見されるのです。

なぜ人は「囲い込まれる」のか

この行為、どういった業者に傾向が強いかと言うと、ズバリ大手です。理由は簡単で、

①宣伝広告費にお金をかけてるので、回収したい

②ネームバリューがあるので、売主を信用させやすい

③国土交通省との癒着があるので指導勧告を受けにくい

他にも色々あるでしょうが、大きくはこの3つでしょう。実際、大手不動産会社の平均仲介手数料が5.4%前後というデータが2015年ごろ明るみになり、大問題になりました。その直後は、さすがに国からの指導が協会を通じて全業者に行われた為、多少は「囲い込み」は減りましたが、それも少しの間でした。

①について、そもそもタレントを使ってテレビやインターネット上などに広告を出すと、いくらかかるかご存知でしょうか?私は前の会社でそのあたりの金額を実際に聞いたことがあるのですが、大河ドラマにちょくちょく出ている俳優さんで年間契約5千万円。少し若手の女優さんで3千万円。これはテレビのCM出演料だけです。

その他、様々な媒体でとなると、途方もない金額でしょう。それを、仲介料という形で埋め合わせ利益を出すとなると、私が上司なら確かに「両手で〜!」と言ってしまいそうです( ;∀;)

②について、これは有名なハロー効果ですね。

<ハロー効果>ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる(認知バイアス)現象のこと。

なぜか、イメージの良いタレントを起用している企業は、その企業のイメージまでよく感じてしまう、というやつです。実際には関係ないのに。

③について、あくまでも噂ですが、まぁ最近はモリカケや公文書偽装など、国の信頼も堕ちるとこまで堕ちてしまっているので、「だろうねぇ〜」ぐらいにしておきましょう。。

もちろん、一概には言えません。大手不動産業者でも良い業者はたくさんありますし、小規模事業者であっても囲い込む業者は多数存在します。

ただ、イメージとして、その業者の規模が大きいから安心、小さいから不安ということにはならないことだけは確かです。

 

反射的な効果も!

この「囲い込み」、実は、金銭的なメリットの他に陳列商品が多くなるという効果もあるんですね。

よく不動産業者のホームページや外窓、店内に、やたらと物件情報を張り巡らせてる業者さんがいらっしゃると思います。

不思議に思いませんか?

ドン・キホーテの「圧縮陳列」じゃあるまいし、不動産業界の場合は「たくさんの商品がある=品揃えがいい」とは限らず、それは反射的に「売れてない」ということにもなるのです。


私は以前、長く不動産業に携わる父親に、どういう不動産業者が良い業者なのか訪ねたことがありますが、

「表示の陳列(お預かりしている物件)が多いが、時に少なく、結果それが回転している業者」

と言っていました。つまり、いつも表示(公開)されてる物件が多いわけがないのです。

見栄えはいいですが、そこが落とし穴です。陳列を増やしたい=お客様のメリットではないのです。あくまでもお客様のメリットは、滞りなく適正金額で売れること、買えることです。

私の経験上「少しでも高く」売ろうとしたり、「少しでも安く」買おうとするお客様より、適正価格であれば良い、または満足というお客様の方が多い気がします。

もちろん業者としてはご希望に添えるよう最大限の努力はしますが、金額はその時の市場が決めます。最終的には相場で売れるのが両者にとって一番の効用であることほとんどです。

この、陳列させたいという反射的効果を狙う業者は、売主へはたまに連絡をし、決められたセリフで言い訳をしながら媒介契約自体を引き伸ばします。

そのうち痺れを切らした売主の元へ、不動産業者が訪れ、売買価格の値下げ交渉に当たるのです。お約束のパターンです。

不動産業者というのは、売れる価格はだいたい把握してますので、査定時に金額を提示し、もし売主から相場より高い金額を要求された場合は、それでもまずは受けて(媒介契約を結び)店頭陳列に使いつつ、たまに連絡をしながら、売れずにお客様が痺れを切らすのを待つのですね。

 

実際にあった例と見分け方

数ヶ月前、土地を探されてる方がいて、私を通すと上記のように囲われるため、直接、その取り扱い業者にお尋ねくださるよう、お願いしました。


するとその方は直接お問い合わせをしたようですが、その後、トラブルに見舞われたそうで、再び私へ連絡がありました。

このように、「囲い込み」をするような業者は、同時に「陳列」も狙うので、少なくともお客様のメリットの最大化を考えているとは到底言えませんよね。


それではそのような業者の見分け方はあるのか、についてですが、まず売主目線の場合は、内覧やお問い合わせの状況を聞いてみましょう。その内容の具体性で判断します。

例えば、

「内覧はどのくらいありますか」と聞いて

「ぼちぼちですね〜」これは完全にクロです。

売りたい意思が強ければ、具体的な数字が出るはずですから。

もしくは、

「お問い合わせの状況はどうですか」と聞いて

「とても気に入ってましたが金額が折り合わないみたいです」これもクロ、あるいは営業が下手です。

上手い営業マンは、それではいくら下げれば土俵に上がりそうなのか、まで詰めますから。決して手ぶらでは帰ってきません。これは暗に売主に(金額を下げましょうよ〜)とほのめかしてるだけです。

次に、買主目線の場合は、物件の内覧などを業者に依頼しても、その業者からの返答が、

「他に検討されてる方がいるようです」

「リフォーム中でまだ内覧できないようです」

などなどで、結局なかなか中を見せてくれない、もしくは話が進みそうで進まない、そのうち他の物件を紹介される、などです。

 

売主、買主目線で上記のような場合は、90%以上の確率で元付業者から「囲い込み」をされてると言って間違い無いでしょう。

ただ、その手口もだんだん巧妙になってきてるので、素人だとなかなか難しいのが現状です。相手はプロですから。

もし、この記事を読み、囲い込みをされてるのではないかと疑わしい方は、セカンドオピニオンのノリで結構ですので、是非ご相談ください。すぐに調べます。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。

売る場合も買う場合も、業者選びで大きく変わることがお分りいただけたかと思います。

関わる業者が多いと、それぞれの思惑があるのでなかなかスムーズにいきません。

ゲーム理論にもなるのですが、こういう時は誰の効用が最大化されるべきかが大事です。

もちろん、お客様です。そしてお客様の効用は、

売る側:金額なのか、期間なのか、条件なのか、

買う側:金額なのか、条件なのか、物件そのものなのか、

色々異なります。そもそも手前の業者選びの時点で、間違えたくはないですね

→アメリカの不動産業界は

この記事を書いた人
薙野 秀貴 ナギノ ヒデキ
薙野 秀貴
お釈迦様の有名なエピソードですが、ある日弟子が「良き友を得ることが聖なる道の半ばだと思えるのですが?」と訪ねたのに対し、お釈迦様は「道半ばではない、聖なる道の全てだ」と答えたそうです。ここで言う「良き友」とは、人生上で起こる様々な苦しみや悩みから解放してくれ、同時に学びや喜びを共感してくれ幸せを気づかせてくれる存在です。それは時に上司だったり部下だったり、先生だったり師匠だったり、旦那さんや奥さんであったりするかもしれません。それをお釈迦様は人生で最も尊重しうる「友」としたのですね。 インターネットやSNSの浸透で、より早く、より膨大な量の情報、そして人へのアクセスが可能になりました。 その中から種々選択する毎日に追われ、現代は、情報化社会から選択社会になったかのように感じてしまいます。 令和が始まったそんな時代、我々も不動産という仕事を通じて、皆様にとっての「良き友」に少しでも近づくことができるよう、努力して参りたいと思っております。
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