令和地建株式会社
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2020年03月15日
不動産知識

アメリカの不動産業界との比較で分かること

日本とアメリカのシステムを比べるのは、それが是か非かという問題はあります。例えば国民皆保険は、明らかに日本のシステムが上です。どちらが消費者にとってメリットがあるか、の点で、盲腸の手術に700万、風邪を引いたら1〜2万円という診察治療費が良いとは、とても思えません。もちろん所得の割合にもよります。

アメリカは日本の約1.5倍ほどで、5万ドル超です。日本円で550万円ほど。

う〜ん、それだけあれば風邪で1〜2万も納得できるかな…と思わなくもないですが、いぜれにしても、貧富の差でも日本の方が(まだ)少ないですし、食品衛生上の点でもアメリカでは訴訟だらけですので、日本の方が安全とも言えそうです。

ただし、アメリカを見習わなければならない部分も多々あります。

その一つが、「不動産業界」です。これは圧倒的にアメリカの方が進んでます。

戦略面とか攻撃面では、やはりアメリカの方が遺伝子的に優れているのでしょうか、この業界においては、全く歯が立たない状態、と言っても良いかもしれません。

もちろんこれには戦後の背景があります。

アメリカは戦勝国なので、1950年代に新築がどんどん経ちました。それが1970年代に入ると低迷し、新築が売れなくなったんです。

その後20年かけて中古住宅の市場を活性化させる取り決め・法案が多数出され1990年ごろには中古住宅市場が確立します。

上図は既存住宅(中古住宅)の流通比率ですが、日本では13〜4%に対しアメリカでは90%超という現状になってます。

さて、既存住宅の流通が良いとなぜ「不動産業界においてはアメリカの方が進んでいる」ということになるのか、についてですが、それを今日は説明して参りたいと思います。

住宅市場そのものが違う

まず、中古住宅市場が活性化しているということは、それだけ消費者の選択肢が増えている、ということになるからです。

アメリカでは必ずしも「中古住宅=安い」訳ではありません。

新築時より高くなってる場合もあります。

それは当たり前と言えば当たり前なんですよね、実は。

例えば新築時は、ピカピカの家と駐車スペースだけだったものが、ベッドやタンス、テーブル類などが付属して、駐車場には屋根付きガレージまで建てられ、家本体自体にハウスインスペクション(住宅診断書)と10年の保険などが付けば、この時点で価値としては新築を超えてるような気がします。

ところが、日本では「新築が良い」という文化があります。もちろんそれは否定はしません。ただ問題は、価値の下がり方です。

戸建では22〜25年でほぼゼロ、マンションもその頃から3分の1まで落ちてます。

アメリカでは、ハウスインスペクションの制度がとても厳しく、国家資格をもつ者が厳格に行います。それをさらに一般人でも業者でも、誰でも閲覧できるサイトに公開するのですが、その情報の内容自体も書式が決められており、内容に不備があった場合は営業停止、取引禁止などの厳しい処罰があります。

日本では、ハウスインスペクションは今年の4月の民法改正で、ようやく「それを行ったか否か」にチェックマークを付ける義務がなされた程度です。

それでも大きな一歩ですが、これまではそのようなものはありませんでした。「現状勇姿」が当たり前で、公開サイトも民間のポータルサイトばかり。

公社ではレインズというものがありますが、これは不動産業者しか閲覧できないようになっており、一般の方はそれを信じるしかありません。逆を言えば、不動産業者のいいようにできるわけです。

通常、売主が業者に売却を依頼した際、このレインズに登録するのが原則は義務なのですが、「一般媒介契約」の場合は、その義務は免除されます(物件の重複を避けるため)。

さらに、他の専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合でも、「載せてますよ〜」と言って載せてない場合や、「これから載せますよ〜」と言って、いつまで経っても載せないなど、自由奔放、無法地帯となってるのです。

これは、調べるのはカンタンです。もし不安な方はお問い合わせいただければお調べしますので、お申し付けください(もちろん無料です。3分で終わります。)

別の記事でも書きましたが、これは「囲い込み」に使われるので、売主にとっても買主にとってもなんのメリットもありませんよね。

この、「中古住宅市場が活性化してない=価値がだだ下がる」という現象、これも日本の不動産業界がアメリカに比べ遅れている、という一つの要素かと思われます。

アメリカの”合理的”な不動産業者

不動産業者自体にも違いがあります。アメリカでは不動産会社のことをブローカーと言います。そのブローカーがエージェント(営業マン)と成功報酬型で契約します。

お客様はそのエージェントに依頼するのですが、先ほども申しましたように、アメリカの全物件情報は共有されてます。なので、依頼する内容は主に「それが買うに値する物件なのか」「売主との間での金額や条件面での交渉」です。

仲介手数料は、売主が全額をブローカーに払うことになっており、エージェントは、契約した割合でそこから報酬を頂きます。

買主は仲介手数料を払う必要が無いので、中間マージンの心配や余計な疑いを持つこともなく、より安全安心な取引ができます。

非常にアメリカらしいと言いますか、合理的ですね〜。

日本の場合は、売主からも買主からも仲介手数料をもらうことが可能である為、業者はお客様のメリットよりも自分のメリットを優先してしまうことが横行し、信頼が失墜する一つの要因となってます。

日本は「信頼の上に契約がある文化」

アメリカは「契約の上に信頼がある文化」

とでも言えるでしょうか。

アメリカは、まずは契約が先にあり、それがなされた上で信頼関係が構築される、日本の場合は、まず信頼、そのあとで契約…う〜ん、どっちがいいんでしょうか。。

少なくとも、合理性という面ではアメリカに分がありそうで、その合理性の積み重ねが結果として中古住宅市場の活性化=産業全体の発展に繋がってる面も、あるかとは思います。

日本の今後の課題

今年の4月の民法の改正に伴い、日本においてもハウスインスペクションの重要性がさらに増して参ります。

<改正宅建業法への対応>

平成30年4月1日に改正された宅建業法により、不動産事業者は、住宅の売却(購入)の媒介依頼を受ける際に、売主(買主)に対して「インスペクション(建物状況調査)」を実施するかどうかを確認し、実施した場合は重要事項説明書や売買契約書に記載することが義務付けれました。(福岡県 建築都市部 住宅計画課)

まずはここが第一歩です。これが普及されれば、日本の住宅市場も変わってきそうです。例えば、昭和56年(1981年)以前に建てられた建物でも、インスペクションを実施し、必要限度で補修工事などを行えば、「耐震基準適合証明書」が発行されます。それにより、買主は登録免許税、不動産取得税、住宅ローン減税などのメリットがある為、物件価値が上がる、ということも十分あり得るのです。

ただし、課題としては、

・レインズへの登録義務

・業者による「囲い込み」禁止

最低でもこの2点だけでも、早急に解決しないと、日本の不動産業者はいったいどこを見て仕事をしているのか、と疑われても仕方ないです。

最後に

アメリカの不動産業界の実情と共に、日本においてはこれからどうあるべきかについても少し触れてきました。

あくまでも、消費者にメリットがあることを主眼に置くと、自ずと”中古住宅市場”が活性化する、という仕組みはご理解いただけたでしょうか。

これはつまり、多様性なのです。

新築も良いですが、中古住宅にも魅力があります。要は、お客様の選択肢が増えることが大事だと思うのです。

不動産というものを取り扱ってきて、曖昧な部分が多いことをよく感じます。

例えば、「囲い込み」や、「瑕疵担保責任(契約不適合責任)」、「レインズへの登録」などです。

これは、日本では古来より「契約」という文化があまり発達してこなかったのが、背景にあるかと思います。島国で災害大国だった為、契約して厳格な取り決めを行うより、協力しあって利益も損失も分かち合おうという文化ですね。談合がいい例ですが。

それはそれで良い部分もあったと思いますが、欧米化が進み、核家族化が進み、それに合わせた民法の改正などで、今ちょうど古来より続く日本の伝統文化と欧米契約文化との境目なのかもしれません。

多様化していくグローバル社会の中で、不動産業界も多様化という波にうまく乗れるといいですね。

 

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この記事を書いた人
薙野 秀貴 ナギノ ヒデキ
薙野 秀貴
お釈迦様の有名なエピソードですが、ある日弟子が「良き友を得ることが聖なる道の半ばだと思えるのですが?」と訪ねたのに対し、お釈迦様は「道半ばではない、聖なる道の全てだ」と答えたそうです。ここで言う「良き友」とは、人生上で起こる様々な苦しみや悩みから解放してくれ、同時に学びや喜びを共感してくれ幸せを気づかせてくれる存在です。それは時に上司だったり部下だったり、先生だったり師匠だったり、旦那さんや奥さんであったりするかもしれません。それをお釈迦様は人生で最も尊重しうる「友」としたのですね。 インターネットやSNSの浸透で、より早く、より膨大な量の情報、そして人へのアクセスが可能になりました。 その中から種々選択する毎日に追われ、現代は、情報化社会から選択社会になったかのように感じてしまいます。 令和が始まったそんな時代、我々も不動産という仕事を通じて、皆様にとっての「良き友」に少しでも近づくことができるよう、努力して参りたいと思っております。
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