「大阪都構想問題」を考える
今週の福岡は秋晴れの広がる週末となっておりまして、週末の宗像市や福津市でも、外出されてる方が多くいらっしゃいました。
海沿いでも、朝一から釣り人で大賑わいでしたが、他にもバイクの方やサイクリング、お食事、お買い物などなど、行楽地は特にたくさんの人で賑わってましたねー
さて、本日は最近何かと話題の「大阪都構想」と言われている「4つの特別区を設置する構想」について。
住民投票も11月1日に迫ってますのでこの問題について簡単に解説して見たいと思います。
「福岡だから関係ない」のではなく、実はとても関係のあることでもあるので、この記事を読んで、初歩的な知識だけでも覚えていただくと良いかと思います。
「問題」の中身は!?
まずこの問題、ちょっと分かりづらくないでしょうか!?
何を揉めてるのか、何が問題なのか、ニュースを見ててもどうもハッキリ伝わってきてないのではないかと思います。
焦点として、なんの是非が問われているかというと、早い話が、
◆二重行政の廃止
◆金(かね)
です。
そうです、また金です。
ちなみに大阪市のホームページでは、
「大阪の成長のスピードアップを図るとともに…」
などと書かれてますが、要するに、これまで大阪市が政令指定都市という巨大な力を持っていたため、大阪府と互いに話し合って決めていたものを、大阪市を廃止して大阪府に一括すれば、決定が早くなり、大阪府の成長もよりスピードUPする、ということです。
なぜ「大阪都」に!?
以前、橋下徹さんがこれにより政界を引退したことは記憶に新しいと思いますが、要はこれ、「大阪維新の会」の党是の問題なのです。
「維新の会」自体が、党是に、
2.地方分権首都機能を担える大阪都をつくり、大阪を副首都とすることで中央集権と東京一極集中を打破し、将来の多極化(道州制)を実現する。国からの上意下達ではなく、地域や個人の創意工夫による社会全体の活性化を図る。(維新の会HPより)
とあり、大阪市を解体して大阪府に一本化することが立党目的の柱でもあるので、今回も「今回限りにする」とか、訳の分からないことを言ってるのです。
本当に必要であれば、「今回限り」という言葉は出てこないのではないでしょうか。
そもそも「大阪都構想」という名前からして、怪しいですね。
「4つの特別区を作る」のが目的で、正確には「特別区制度」です。
マスコミなどを中心に「大阪都構想」と呼んでるのは、
大阪も東京のように経済発展すれば…
という幻想を抱かせるためのもので、賛成票を取り込む、一種のプロパガンダ用語ですね。
このプロパガンダ用語が良いか悪いかは別としますが、用語が与えるイメージと中身が違うのでは、誤解されても仕方がないと思います。
「二重行政の廃止」について
さて、まず二重行政は廃止されるのでしょうか。
確かに、政令指定都市を4つの特別区に分ければ、権限が極端に薄まります。
東京のように「〇〇区」と分けて、「大阪府」に権限の全てを集中させれば、効率化できるかのように思えます。
しかしながら、政令指定都市という権力を失うため、それぞれの「区民」は、自治権を奪われます。
大阪市のホームページでは、一応、
身近な行政を担う区政の全般にわたって責任を持って判断することができます。
とありますが、どこまでが「身近な行政」なのかも分かりませんし、ここは後からどうにでも変えられます。
よく、「市立」と「府立」が乱立していて、無駄が多い
とも言われますが、福岡県でも、市民体育館と県立体育館は共存してますし、何か問題でもありましたでしょうか!?おそらく「無い」かと思います。
それよりむしろ「市立」で働いてた方は職を失います。
「二重行政」の廃止で、「1000億円浮く」とか「4000億円経費が削減できる」などの話を聞いたことがあるかと思いますが、「市を廃止」して「4つに分割」することで逆に経費がかかるので、経費削減どころか、マイナスになるそうです。
「二重行政の解消」をしてもそれほど意味もなく、「予算(金)」的にもマイナスで、むしろ働いてる方の雇用は失われる、というのがこの「大阪都構想」の中身なのですが、言い方を変えれば、
決定権を一つに集中させて小分けし(=大企業優遇で中小零細を淘汰)、雇用も零細化(=大規模小売店舗立地法など)
これ、言い方を変えれば、完全な新自由主義的な政策ということが、お分かりいただけるかと思います。
大阪都構想と新自由主義経済の関係
「緊縮財政と規制緩和(民営化)」は新自由主義の代名詞ですが、これまで「市」と「府」が話し合って決めていたものが、一括して決められるようになれば、府にとっては「規制」が無くなったようなものです。
駅前がシャッター商店街になったように、マクロでは効率化を図ったつもりが、ミクロでは所得が下がるという現象も起こり得ます。
公明党は賛成しておりますが、これは、同じ選挙区に「維新の会」の候補者がいるので、そこがバーターとなっているという、極めて政治的な理由です。
その「維新の会」を強烈にバックアップしているのが、
竹中平蔵なのです。
つまりこの「大阪都構想」問題は、
維新の会を通じた新自由主義的な政策で、保守とリベラルが争っている問題
なのです。
そして分かりづらい理由は、
分かりやすくすると、反対票が増えるから
でしょう。
そもそも2015年に「都構想が反対された」からといって、橋下徹さんがなぜ引退するのか疑問でしたが、これも、
橋下徹さんは大阪都構想を実現するために新自由主義派から担がれたから
でしょう。
以前の記事 (「竹中平蔵氏の主張するベーシックインカムとは!?」)で竹中平蔵と菅首相の関係については少し触れましたが、竹中平蔵と言えば小泉政権時代に新自由主義的な政策を多く持ち込んだ方。
そのバックには、国際金融資本の代理人、元ゴールドマンサックスのデービッドアトキンソン氏。
菅首相=竹中平蔵(維新の会)=デービッドアトキンソン
要はこの構図で政策が進められているのです。
ちなみに、安倍政権時にインバウンドやIRを推し進めていたのも菅さん。
全てが線で繋がることが、お分かりいただけましたでしょうか。
「大阪都構想」の行く末
この新自由主義派は、ミルトンフリードマンを祖とする「シカゴ学派」と言われ、かの「ケインズ政策」を批判し1970年代以降、経済学の「主流派」と呼ばれるようになりました。
福祉予算の削減、企業減税、規制緩和を進めたレーガノミクスやサッチャリズムが有名ですが、先日葬儀が行われたかの「中曽根元総理」も、鉄道や電話、タバコなどを次々と民営化しました。
要は、この文脈の延長にあるのが、「大阪都構想」なのです。
そこで、なぜ福岡が関係するのかと言うと、福岡に限らず、この大阪都構想が実現すれば、次は愛知県、次は神奈川県、次は…となり、その行く先は道州制です。
それが「悪い」と決めつけてるわけではないのですが、政府の役割を小さくして経済の主役を民間部門に任せるという政策。野放図にすると、結果として格差が拡大してしまいます。
今はむしろ「(公共事業などの)政府の介入が必要である」とする「ケインズ的政策」が必要なのですが、菅さんの政策は、「維新の会」と見事に歩調が合ってしまっております。
国民の選択は
国が関与すれば、学術会議のような組織が暗躍する
かと言って、国の力を削ぎ過ぎると、格差は拡大する
このせめぎ合いが、「大阪都構想」の問題と言えそうです。
新自由主義派閥は、安い労働力でボロ儲けするために中国共産党を支援してきましたが、そう言った大企業は日本のマスコミのスポンサーにもなってますので、報道がどうしても偏りがちです。
「大阪府」の話しが、今後、各都道府県にも伝染し、日本国全体の問題にも発展しうる「大阪都構想」問題。
どちらが良いのが、府民ばかりでなく、国民にも選択が迫られる時が近づいてます。

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