浸水想定区域は不動産価値に影響する!?
最近、不動産売買で買う方が特に気にされるのがこちらの「洪水浸水想定区域」です。
昨今の大雨により、3年前の平成27年5月に「水防法」が改正され、ハザードマップもより複雑になってきましたので、簡単に分かるよう、説明したいと思います。
洪水浸水想定区域とは
福岡県のホームページの説明によると、
◆ある規模の降雨が発生した場合に、河川の氾濫により、浸水が想定される範囲と深さを示したもの
◆水防法の規定により、水位周知河川について、区域の指定・公表を行う
となっております。
水位周知河川とは、市町村による避難勧告等の発令判断の目安となる推移を設定し、その水位に到達した時に到達した旨を県から市町村に通知し、住民に周知する河川(水防法13条)のことです。
宗像市では「釣川水系」、福津市では「西郷側水系」がこれにあたります。
水防法の改正で変わったこと
1時間当たりの降雨量が50㎜を超える豪雨が全国的に増え、その降りかたも年々、局地的、集中化、激甚化しているという背景から、平成27年5月に水防法が改正されました。
これにより、従来、「計画規模降雨」で公表されていた洪水浸水想定区域を、「想定最大規模降雨」による洪水浸水想定区域に見直して公表することが定められました。
❇︎計画規模とは、河川の整備を行う際に、安全に流す目標とする洪水の規模のことで、計画規模降雨とは、河川の洪水防御に関する基本となる降雨のこと。
❇︎想定最大規模降雨とは、国土交通省が定める、想定しうる最大規模の降雨のこと。
公表される図面の種類と内容
数も増えましたが、これまでに比べ、より浸水被害が具体的に分かるような図面になってます。
①洪水浸水想定区域図(想定最大規模)
対象となる河川について、「想定最大規模」及び「計画規模」の降雨が発生した際に浸水が想定される区域と深さです。
浸水の深さによって色分けされてます。
②洪水浸水想定区域図(浸水継続時間)
こちらは新しく追加された図面になります。
文字通り、浸水が継続する時間を色分けして表示されております。
浸水継続時間とは、歩行が困難となり孤立する可能性がある浸水の深さ「50㎝」を最初に上回ってから、最終的に下回るまでの時間のことです。
(途中、一旦下回った後、また上回った場合の継続時間もカウントに入ります)
③洪水浸水想定区域図(計画規模)❇︎再公表
従前と同様のものを、作成時点のデータにより改めて公表されております。
④家屋倒壊等氾濫想定区域図(氾濫流)
こちらも新しく追加されました。
想定しうる最大規模の降雨の際、家屋が倒壊するような氾濫流や河岸侵食が発生する恐れの高い区域のことです。
この区域内で洪水が発生した場合は、できる限り早く避難する必要があります。
宗像市や福津市では今のところ指定がありませんが、遠賀川流域に所々存在します。
⑤家屋倒壊等氾濫想定区域図(河岸浸食)
④同様
オススメの防災系サイト
以前の記事でもご紹介しておりますが、仕様や更新などもありますので、改めて以下に絞ってご紹介いたします。
こちらでは土砂災害警戒区域や津波についての図面も閲覧できます。
福岡県内の指定河川における上記①〜⑤の図面が全てご覧いただけます。
海沿いなどでは特に注意が必要な図面がこちら。全体図と浸水継続時間に関する図面が閲覧できます。
不動産価格に与える影響は
ここ最近、不動産取引をされた方はお分かりかと思いますが、宅建業法も改正され、宅建業者は買主に対する重要事項の説明の際に「浸水想定区域」に入ってるか否かの説明が義務付けられております。
それだけ買主の購買に影響を与える重要な項目となっているのは言うまでもありませんが、逆に、売る側の立場としても、このエリアに入ってるか否かが、金額に影響を及ぼす場合もあり得るということになります。
実際にどのくらいかについては、区域により異なりますが、土地の高さをかさ上げしたり、周りの土留めを強固にしたりなど、防護策を施しておればそこまで価格に影響しない場合も実際にはありました。(宗像市内)
ただ、その工事の費用が結構かかりますので、金額ベースで言えば価格が下がったのと同じことにはなってしまいます。
都市部や居住誘導区域か否かなど、物件ごとに異なって参りますので、その都度、ご相談いただければと思います。
最後に
今年の梅雨〜夏にかけても、恐怖を感じるような豪雨と台風で(マスコミの煽りもありましたが)、スーパーから水や食料品、ガムテープや段ボールまでもが棚から消えてしまうような事態になりましたが、まだ海水温が例年より明らかに高いので、台風シーズンは今後11月ごろまでは気をつけておいた方が良さそうです。
関連記事→色々な防災系サイト
なかなか時間が取れず、まだ「防災系サイト」をご紹介するページを作れておりませんが、該当ページのURLをブックマークしておくなどで、非常時、いつでもサイトが閲覧できるようにしておくと便利です。
管政権は「自助、公助、共助」を言っておられますが、本来は自分の身は自分で守るのが基本です。誰に聞いても正解は教えてくれません。
昨日の記事でも書きましたが、自然現象こそ無知の知、「想定外のことが起こる」と思ってるぐらいで丁度良いと思います。
更新された防災マップ、是非この機会にご覧になっておくと、いざという時に役に立つかもしれません。

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