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2020年06月26日
本日のコラム

「田舎」の合理性

都会に住む青年が、田舎の暮らしに目覚める様子を描いた矢口監督の映画、

「WOOD JOB」

2014年と結構前の映画なのですが、先日ご紹介した「サバイバルファミリー」と同じ監督ということで、早速DVDを借りてきて観賞させていただきました。

まだ観たことのない方のために、詳しい内容は控えますが、ネタバレにならない程度でざっくりとご紹介いたします٩( 'ω' )و

まず、主演の染谷将太さんと伊藤英明さんは文句なしのハマり役。

長澤まさみさんや優香さんも本当に田舎にたまたまいそうな雰囲気を出してて、とてもリアリティのある作品になってました。

全体的に”田舎の豊かさ”が描かれてますが、「田舎あるある」が随所に散りばめられており、あっという間に映画の中に引き込まれてしまいます。

この辺りはさすが”矢口監督”といった感じですが、もちろん田舎の不便さや排他的な側面もちゃんと描かれており、多少、誇張されてる面もあるかとは思いますが、そこは限られた時間でまとめなきゃいけないので許容範囲でしょう。

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日本ではなぜか「都会に憧れる、田舎で我慢する」という構図が、どこかあるように思います。

そもそも「都会」がプラスのイメージで、「田舎」がマイナスイメージという感覚、ありませんか?

これは社会が情報化され、「都会=最新」「田舎=古い」という構図が浸透していく中で起こる、人間の自然な感情なのかもしれませんが、「田舎」という言葉自体が、どこかダサい感じを含んでるような気がします。

都会では仕事も遊びもたくさんあり、人も集まるのでそれなりにお洒落な格好をする人ばかりで、文化的にも最先端。

対して田舎は、スマホの修理一つとっても時間かかるわ、店閉まってるわ。
服は売ってないわ、ファミレス行けば知り合いに会うわ、夜になりゃ真っ暗だわ、雨降りゃ即危険だわ、何より、仕事ないわ遊ぶとこないわで暇!という感覚、どこかあるかと思います。

言葉自体も「都会」ってカッコよくて、「田舎」はダサい。
その「田舎」という言葉、そもそもどこから来たのでしょうか。

「田舎」の語源と言葉の力

これは、元々は「たいなか」が語源だそうです。

昔、農作業をする人が、いちいち高台にある自分の家まで戻るのが面倒で、田んぼの中に仮住まいを建ててそこで寝泊まりするようになりました。

この仮住まいが、「田居(たい)」または「田舎(でんしゃ)」と呼ばれてたそうで、それらがたくさんできた集落の様子が「田居中(たいなか)」と呼ばれ、「た」が抜けて、「田舎(でんしゃ)」の字が当てられ、田んぼと農家が集まる風景や光景を「田舎=いなか」と呼ぶようになったらしいです。

他にも色々説はあるようですが、何れにしても、元々の語源そのものにはダサい感じは無いんです

言葉のイメージは戦後の高度経済成長期に作られたもので、「都会=洗練された最先端のお洒落な場所」の対比で、「田舎=古い、ダサい」イメージが作られて来たようです。

言葉というのは大変恐ろしいもので、人が人為的に言葉に”イメージ”を持たせ、それが後発的に、人の感情と行動に作用するという側面があります。

例えば「不動産屋」という言葉のイメージも、だいぶ変わりはしましたが、未だ、負の側面があることも否めません。

「田舎(いなか)」という言葉のイメージも、それが都会に人を集める意図なのか、何らかの市場原理がそうさせたのかは分かりませんが、間違いなく人の手によって作られたものであります。

それがここ10数年でだいぶ変わってきました。

「田舎=ダサい、古い」から「田舎=ゆとり、贅沢」という価値観です。

視点の違い

大きく作用したのは、インターネットによる物流網の拡大です。

これまで、そこに行かなければ実現しなかったものが、今は手元で実現します。

例えば、買い物。
特にAmzaon Primeは世紀の大変革、産業構造を根本から変えたものだと思います。(このまま成功すればの話ですが)

逆に、そこに行かなければ得られないものの代表が、仕事(職場)です。

90年代以降のトレンディードラマなどでも、

都会にはたくさんの仕事と出会いと遊びがある

ような構成で作られてたように思います。

実際に、「東京ラブストーリー」を観てた自分としても、東京はそういう街だというイメジがありました。
雑踏とした都会ジャングルの中で、最先端でカッコよく生きるビジネスパーソンの心と心が触れ合う中、時折「田舎」を(ちょっと上から)省みる…ようなシーンもありましたよね。

実際に東京に住んでみたら、映画やドラマに描かれてるようになるかは人それぞれだとは思いますが、構図としては、「田舎から都会に出る」というベクトルが一般的だったのが、この映画「WOOD JOB」ではその逆。

「都会から田舎」の視点で描かれてるのが、見どころの一つ、面白さを感じる映画です。

時代背景は!?

李相日監督の映画「悪人」でもそのような対比のシーンがありますが、未来と現代や、善と悪のような対比違い、「都会と田舎」の対比は、とてもリアリティがあって、どこか懐かしさを感じることもできます。

2014年というと東日本大震災のあとですが、原作は2007年ごろ。
ちょうど第一次安倍政権が辞任した年なんですね。

このあと、民主党に勢いがついて政権交代となるのですが、経済はというと、翌年の2008年にリーマンショックですから、世界的には金融バブルが膨らんでいた頃になります。

国内はというと、実質の賃金で今より平均で6%高かった時代ですが、小泉竹中構造改革後、ひたすら非正規雇用が増えていた時期でもあり、世間では「一旦政権を変えてみるか」の風潮が高まってました。

自民党の支持率が地に堕ちて、選挙でも民主党に完敗。

その頃、『本とも』で連載されてた青春小説で、映画化されたのがその7年後。

2014年というと、まだ記憶に新しい、衆院選で与党が圧勝して第2次安倍政権が意気揚々と船出した記念すべき、素敵な年なのであります。

大規模金融緩和が始まり「アベノミクス!」などと言って、結局中身は小泉竹中改革を前に進めただけのものになってしまいましたが、まだまだ都会に期待と夢がギリギリ残ってた、そんな時代に公開された映画です。

逆に言えば、ちょうど地方(田舎)に視線が移ってきた時代。

東日本大震災後で、日本も分散化して安全保障を確保していかなければならない風潮が高まっていた時代とも言えそうです。

映画の中で、そのような時代背景や、都会で起こってることを想像しながら観ていると、どっちが豊かで、どっちが日本的かを考えさせられます。

映画の力

江戸時代、世界一の年であった江戸の町で、人々の脅威だったものは、火事と感染病だったそうです。

今回の「新型コロナウイルス」で、密集のリスクを思い知らされました。
それは、陰謀などの類のものではなく、事実として受け止めるべき、現実のリスクです。

何らかの力が働いてるかは分かりませんが、それがあろうが無かろうが、「日本のように、脊梁山脈が国土の70%を占める自然災害大国では、分散して住むことが理にかなっている」のは、実際事実なんです。

無理やり「世界に合わせた」おかげで、国民の価値観が変えられ、言葉と社会にイメージが後付けされ、今の文化があります。

その「今の文化」とは!? 言葉で説明できるでしょうか。

「WOOD JOB」では、それらが体現的に描かれてるように感じました。

都会は便利と言われますが、果たして本当に便利なのか。便利を求めれば、次の便利を求めるので、無限ループに陥らないか。
問題は感じ方であり、「どう捉えるか」によって心の在り方も変わります。
(→「意識の集合体」

そして、その「心の在り方」は、便利さと相反する時があります(記事 「便利さの追求で失うもの」)。

もちろん都会は人が多くその辺の居酒屋でも賑わっており、楽しいこともたくさんありますが、最近は田舎でも十分に忙しいし、買い物に困ることもありませんし、遊びきれないほど遊ぶ場所や食べきれないほど美味しい食べ物もたくさんありますからね。

便利さを追求した「都会」と、それを心の問題も絡め合理的に解決する田舎。

どちらが良い、というような単純な図式ではなく、日本という土地にくらす現代人が、改めて仕事と生活の在り方を見直し、文化と安全保障(食料、災害、防衛など)の関係性を考える良いきっかけにもなるような、そんな映画だと思うのです。

内容はとても単純で、観やすい作品ですので、是非オススメです♪( ´θ`)ノ

この記事を書いた人
薙野 秀貴 ナギノ ヒデキ
薙野 秀貴
お釈迦様の有名なエピソードですが、ある日弟子が「良き友を得ることが聖なる道の半ばだと思えるのですが?」と訪ねたのに対し、お釈迦様は「道半ばではない、聖なる道の全てだ」と答えたそうです。ここで言う「良き友」とは、人生上で起こる様々な苦しみや悩みから解放してくれ、同時に学びや喜びを共感してくれ幸せを気づかせてくれる存在です。それは時に上司だったり部下だったり、先生だったり師匠だったり、旦那さんや奥さんであったりするかもしれません。それをお釈迦様は人生で最も尊重しうる「友」としたのですね。 インターネットやSNSの浸透で、より早く、より膨大な量の情報、そして人へのアクセスが可能になりました。 その中から種々選択する毎日に追われ、現代は、情報化社会から選択社会になったかのように感じてしまいます。 令和が始まったそんな時代、我々も不動産という仕事を通じて、皆様にとっての「良き友」に少しでも近づくことができるよう、努力して参りたいと思っております。
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