令和地建株式会社
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2020年06月03日
不動産知識

改正都市計画法を解説します

背景は

新型コロナウイルスによる騒動で忘れがちになっておりますが、昨今、大雨による浸水や土砂による甚大な災害が毎年のように多発しております。

一言で 「温暖化により」とは片付けられない原因が考えられているのですが、大まかには、

◆地球全体で、長期では寒冷期に向かっているが、短期で温暖化している

◆ヒートアイランド現象で局地的に低気圧と積乱雲が発達しやすい

◆発達した積乱雲による線状降水帯で雨が長時間続く

これらにより、明らかに大雨・災害が増えました。

こちらは気象庁のグラフです。

縦グラフは、「1時間降水量50㎜以上」の発生回数。

赤線は平均です。

明らかに増えてます。

気温の上昇と降水量は相関関係が明らかになってますので、このトレンドを受けて「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」が今年2月7日に閣議決定。本日、6月3日参議院を通過しました。

以下、国土交通省発表

   頻発・激甚化する自然災害に対応するため、災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制、移転の促進、防災まちづくりの推進の観点から総合的な対策を講じることが喫緊の課題となっています。また、こうした取組に併せて、駅前等のまちなかにおける歩行者空間の不足や、商店街のシャッター街化等の課題に対応するため、まちなかにおいて多様な人々が集い、交流する「居心地が良く歩きたくなる」空間を形成し、都市の魅力を向上させることが必要です。
   この法律案は、これらの課題に対応するため、安全で魅力的なまちづくりを推進するためのものです。

「まちなかにおいて多様な人々が集い」って…

ここ、今となっては変えるか削るかしたほうが良かったのではと思ってしまいますが、あくまでも収束したと仮定してのお話ですのでd( ̄  ̄)

シャッター商店街については、1998年の「大規模小売店舗法」の廃止が明らかに大きく影響しています。

この頃から大型のショッピングモールが郊外に乱立するようになり、人々の消費が「駅前の商店街」から「車でショッピングモールへ」に変わりました。

詳細についてはまた別記事で解説しますが、どちらかというと法の趣旨は

災害エリアでの開発許可の基準を厳しくし、多発する自然災害から人々を守る

でしょう。

詳しく見ていきます。

【安全なまちづくり】

レッドゾーンなどで開発許可の基準を厳しくしたり、居住誘導地域から除外するなどして、建物の乱立を防ぐための規制がなされています。

レッドゾーンとは、「住宅等の建築や開発行為等の規制がある区域」で、

災害危険区域

土砂災害特別警戒区域

地すべり防止区域

急傾斜地崩壊危険区域

の4区域です。

イエローゾーンとは、「建築や開発行為等 の規制はなく、区域内の警戒避難体制の 整備等を求めている区域」のことで、

浸水想定区域

土砂災害警戒区域

都市洪水想定区域

の3区域です。

現行法でも分譲住宅や賃貸住宅、賃貸オフィス、貸店舗などはこのレッドゾーンが含まれないようにされてますが、今回の法改正では、それに加え、「自ら使用する施設」つまり「自己業務用施設」については規制対象とされていませんでした。

①災害ハザードエリアにおける新規立地の抑制

具体的には以下。

1)災害レッドゾーンにおける自己業務用施設の開発を原則禁止 

2)市街化調整区域の浸水ハザードエリア等における住宅等の開発許可の厳格化 

3)居住誘導区域外における災害レッドゾーン内での住宅等の開発に対する勧告・公表 

薄赤い部分がいわゆる「レッドゾーン」と言われている地域です。

「急傾斜地」「土石流」「地滑り」の3項目でレッドゾーンとイエローゾーンが指定されています。

このエリアに入っていても、建築できないことはないのですが、色々と規制がかかってきます。

具体的には、

居住誘導区域外で住宅3戸以上の開発

2戸以内でも1000㎡(約300坪)規模以上の開発

これらの場合でさらに、

災害レッドゾーンでの開発で市町村の勧告に従わない

→事業者名の公表

ができるようになります。

増改築する際も建築の制限などがかかってきますので、出来るだけピンポイントで、該当地がどのようなエリアに入っているか、確認しておくと良いと思います。

色々なサイトで公開されておりますが、私がオススメのサイトはこちら→ハザードマップポータルサイト

②災害ハザードエリアからの移転の促進

 1)市町村による災害ハザードエリアからの円滑な移転を支援するための計画作成 

レッドゾーンなど、災害リスクの高いエリアから安全なエリアへの移転を、市町村が手助けして促進するよう計画を立てなさいという法律です。

レッドゾーン、イエローゾーン共にこのエリア内の方は「居住誘導区域」へ移転を促進される、ということですね。

なるだけコンパクトシティ化しようということですが、自治体としてもその方が管理しやすく将来的にコストも下がりますからね。

人口減に歯止めがかかりそうにもないので、一括して災害リスクを避けるにはコンパクトシティ化もやむを得ないとは思います。

ただ、みんな同じ職業であるわけでもなく、人それぞれ価値観や趣向も異なりますので、行政代執行のようなことまではないでしょう。

ある程度憲法との対立、判例が積み重ならないと、なかなか進まない部分もあると思います。

③災害ハザードエリアを踏まえた防災まちづくり

1) 居住誘導区域から災害レッドゾーンを原則除外

2) 市町村による居住誘導区域内の防災対策を盛り込んだ「防災指針」の作成 

居住誘導区域とは「都市再生を図るため、居住を誘導すべき区域として立地適正化計画で定められる区域」のことです。

レッドゾーンに誘導するわけがないので、当たり前のことではありますが、この居住誘導区域内でも防災対策をやりなさい、と法律で明文化されたという内容です。

具体的には、避難路を確保したり、防災用の公園や広場などの避難地、避難施設等の整備です。

【魅力的なまちづくり】

「都市再生整備計画に「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりに取り組む区域を設定 (都市再生特別措置法第46条第2項第5号) し、以下の取組を推進…」

とされています。

これはまた抽象的な表現ですが、居心地歩きやすさも完全に個人によって異なると思うのですが…( ;  ; )

詳しく見ていきます。

①「居心地が良く歩きたくなる」まちなかの創出

 1)官民一体で取り組む「居心地が良く歩きたくなる」空間の創出(公共による車道の一部広場化と民間によるオープンスペース提供等)

2)まちなかエリアにおける駐車場出入口規制等の導入(メインストリート側ではなく裏道側に駐車場の出入口を設置)

 3)イベント実施時などにまちづくり会社等の都市再生推進法人が道路・公園の占用手続等を一括して対応 

これから土地が余ってきますから、このような有効活用はとても良さそうです。

ただ、「土地余り」の難しい問題は「土地収用」です。

これは土地収用法という法律で括られているのですが、基本、強制執行ができないので「一区画だけ残って広場化」できないという場所が、宗像市や福津市内でも結構あります。

これは相続が絡んでくるのですが、ここで小話を一つ。

日本では戦前、地主制度というものがあったのですが、戦後のGHQの改革によりそれが廃止され、個別に相続されるという制度に変わりました。

これにより、田畑までもが子供達に相続されることになり、結果、農地が分割化。

自分では農地を活用できないので相続放棄などが起こり、他人の手に渡ってしまう仕組みができてしまいました。

北海道で、中国人や韓国人による土地の買収が起こってるのも、このように土地が分割化され、人から人へ所有権が渡って行った背景もあるんだと思います。

そうすると、農地が毀損あるいは荒廃し、食料自給率が低下という結果をもたらします。

つまり、田畑を分けることは愚かな行為、ということで、

田分け=たわけ

という言葉が生まれたそうです。

そして実はこれ、過去、鎌倉時代にあったそうで、その頃からの言葉だそうです。

足利尊氏がこれを田分け制度を廃止、分割相続された田畑を、もう一度て、ひとつの家の財産にするという制度「田寄り」を行ったことで、

田寄り=頼りになる

という言葉ができたそうです。

当時は田=税収でしたから、農地が分割されると財政がモロに悪化したんですね。

鎌倉幕府やモンゴルの元が滅びたのも、それが原因と言われており、分割相続というのは歴史上あまり褒められたことではないようです。

さて、日本では戦後、ず〜っと分割相続ですが、それにより外資や大企業に土地が買収されております。

「官民一体となって」のの部分が気になりますが、何れにしても道路が拡充されて、広場や公園が増えるなどの施策は、安全性や暮らしやすさの点からしても、これからの日本に必要な政策だとは思います。

 

②居住エリアの環境向上

1)居住誘導区域内における病院・店舗など日常生活に必要な施設について用途・容積率制限を緩和

2)居住誘導区域内における都市計画施設の改修促進

居住誘導区域内では特に暮らしやすくする、利便性を高めようという施策です。

コンパクトシティ化を促進するような規制緩和ですが、同時に老朽化した都市インフラの改修等も含まれてます。

国交相の資料だと「都市計画税を充当」とありますが、普通に赤字国債でやらないと、また税金が上がる口実に使われそうですが…。

最後に

ご覧いただいたように、テーマとしては

【安全なまちづくり】

【魅力的なまちづくり】

の2本立てが基本で、目的はとしては、

◆災害対策

◆コンパクトシティ化

であることが伺えます。

背景としては、人口減や温暖化などがありますが、そもそも

「国土強靱化基本計画」

「経済財政運営と改革の基本方針2019」

「成長戦略実行計 画・成長戦略フォローアップ・令和元年度革新的事業活動に関する実行計画」

「まち・ひと・し ごと創生基本方針2019」

が元になっている法改正です。

いずれも昨年のお話であり、「コロナ後」には対応しておりません。

どちらかというと、建物を縦に伸ばすより、横に広げる施策が必要になってくるのではと、思わなくもないのですが、ひとまず参議院を通りましたので、お知らせ、解説いたしました。

この法改正により開発許可や市街化調整区域での立地基準、規制等に変更などがありましたら、またこちらの記事にてお知らせいたします。

それでは長々とお付き合い、ありがとうございました。

 

この記事を書いた人
薙野 秀貴 ナギノ ヒデキ
薙野 秀貴
お釈迦様の有名なエピソードですが、ある日弟子が「良き友を得ることが聖なる道の半ばだと思えるのですが?」と訪ねたのに対し、お釈迦様は「道半ばではない、聖なる道の全てだ」と答えたそうです。ここで言う「良き友」とは、人生上で起こる様々な苦しみや悩みから解放してくれ、同時に学びや喜びを共感してくれ幸せを気づかせてくれる存在です。それは時に上司だったり部下だったり、先生だったり師匠だったり、旦那さんや奥さんであったりするかもしれません。それをお釈迦様は人生で最も尊重しうる「友」としたのですね。 インターネットやSNSの浸透で、より早く、より膨大な量の情報、そして人へのアクセスが可能になりました。 その中から種々選択する毎日に追われ、現代は、情報化社会から選択社会になったかのように感じてしまいます。 令和が始まったそんな時代、我々も不動産という仕事を通じて、皆様にとっての「良き友」に少しでも近づくことができるよう、努力して参りたいと思っております。
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