令和地建株式会社
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2020年05月24日
不動産知識

私道と通行地役権の関係

記憶に新しいところで、昨年、このような騒動がありました。

【業者が私道封鎖、通行料要求 「生命に関わる!」住民側と法廷闘争へ】

この実際にあった事例、経緯としては、

①福岡県のある不動産業者が長崎市青山町の団地内の道路(私道)の所有権を取得

②長崎市に寄付を打診したが断られた

③住民に買取りや通行料を要求したが断られたため、当該道路をバリケードで封鎖

④生活に支障をきたすとのことで訴訟へ

よくよく調べると、これまで所有者が何度か入れ替わり、長崎市に寄付を打診した業者と、今回バリケードで封鎖した業者は異なる(!?)ようでもありますが、何れにしても経緯としては以上になります。

この問題、実は1971年の「都市計画法の改正」前に開発されたような土地では、ちょこちょこ起こっている案件なのです。

この改正によって、デベロッパー(開発業者)が一段の住宅地を開発した場合、団地内の道路は原則として自治体の管理になる(移管)となったのですが、それ以前のものは適用外であるため、移管されてなくても開発許可がおりてしまうこととなり、このような問題が起こるのです。

ポイントは、

a)業者の通行料(数千円〜1万円,買い取り料3,000万円)は妥当か

b)住民の主張する通行地役権が認められるか

c)自治体への移管は

a)については、はっきり言って高いです。ぼったくりと言われても仕方ない金額でしょう。例えば、敷地内に電柱を建てさせて欲しいと電力会社などからお願いされることもありますが、その場合でも設置料は年間で100円とかです。地役権が設定されてるので、その対価として通行料を徴収すること自体は、違法ではありません。当然、無償とすることも可能です。

この道路に関しては、これまで50年間、通行料等は発生しない代わりに、住民らが道路の管理を行ってきたという経緯がありますので、何れにしてもこれらの金額は高過ぎでしょう。

b)について、 通行地役権は登記が必要(地役権設定登記)ですが、住民が最初に土地を購入した際、その登記は行っているかが定かではありません。訴状によれば、住民側は当時の所有者から「車で家の前に横付けしても良い」との説明を受けたことから、「当然に地役権は得ている」と主張しているようですが、私道の所有者は「そういう契約はしていない」と主張しています。

c)これまでの所有者が、長崎市に対し、寄付を申し入れたにもかかわらず、拒絶されております。理由は、市への移管(寄付受け入れ)に必要な要件を満たしてないから、とのこと。

通行地役権:通行という目的のために設定される地役権のこと(民法第280条)

寄付を受け入れる要件は、

<要件>

◎原則として幅員4.0m以上
◎道路側溝の構造がコンクリート3面張り
◎ガードレールや側溝蓋の設置 など

昨年の長崎地裁の判決では、住民の通行を妨害しないよう命じる決定がなされたものの、バリケードはそのまま。結局は、

【長崎・青山私道封鎖問題 代替道路として市道拡幅へ】

昨年10月に長崎市青山町の住宅団地を通る私道が所有する業者に封鎖された問題で、長崎市が車両の通行できる代替道路として町内の市道の一部を拡幅することが19日、分かった。25日に着工し、9月ごろに完成予定。
 昨年10月、青城自治会内にある私道(延長約700メートル)を所有する福岡県の不動産管理会社が住民に車両通行料を求めて、道路の一部を封鎖。今も通行禁止としている。影響は隣の青山町自治会にも及び、住民が周辺に出るには軽自動車が通れる道幅の市道しかなかった。
 拡幅するのは青山町自治会内を通る約34メートルの市道。従来の幅1~1・5メートルから2・5~4メートルに広げ、緊急車両も通れるようになる。事業費約1350万円。昨年10月に設計を始め、4月までに市が関係する地権者3人から土地を取得した。(攻略 長崎新聞より)

福岡の恥のような業者ですが…(-_-;;

ひとまずは、住民の方は9月までの我慢ですね。

それまでの間、救急車や火事などの問題が起きなければ良いのですが。。。

公判の方はまだ続いているようですが、私の見立てでは、

住民の要求がある程度聞き入れられつつ、自治体へ移管

だと思います。具体的には、

一部道路を市に寄付、残りは一部そのままか市(または国)が収用

このような折衷案が取られると思われます。

あくまでも、私の予想ですので、参考までにm(_ _)m

理由は、そうでないと、この付近の土地価格も大幅に下落することになり、この不動産業者の行為が、私有財産権の侵害にも当たる可能性があるからです。

憲法は、このような私人間の争いに直接適用されるべきか否か、間接的に適用すべきか等で諸説あるのですが、私有財産権の侵害となると最高裁まで行くかもしれないですね。

下手に不動産業者の言い分を認めると、全国のこういった土地が買い占められ、そこの住民に買い取りや通行料の請求を行うでしょうし、かと言って、住民側の要求を全て受け入れると、私的所有権絶対の原則という、近代私法の三大原則に反することとなってしまいます。

だいたいこのような問題は、問題が起こるたびに、

その都度法整備されてきた

という流れがあるので、「一つ一つを個別に解決していきながら、時代に合わせていく」しか方法が無いのです。

行政側としても、早い段階で何らかの措置を取っていればここまで大きな問題にはなってなかったはずです。

一段の開発された土地の場合、前面の道路が自治体に完全に移管されたものなのか、共有持分などで私道のままなのか、しっかり確認するようにしましょう。

ちなみに、間もなく売り出し開始になります、「福間駅東3丁目」の土地は、4区画とも前面道路は公道です。

接道義務とは

道路の種類

位置指定道路とは

二項道路とは

最後に

この記事を書いた人
薙野 秀貴 ナギノ ヒデキ
薙野 秀貴
お釈迦様の有名なエピソードですが、ある日弟子が「良き友を得ることが聖なる道の半ばだと思えるのですが?」と訪ねたのに対し、お釈迦様は「道半ばではない、聖なる道の全てだ」と答えたそうです。ここで言う「良き友」とは、人生上で起こる様々な苦しみや悩みから解放してくれ、同時に学びや喜びを共感してくれ幸せを気づかせてくれる存在です。それは時に上司だったり部下だったり、先生だったり師匠だったり、旦那さんや奥さんであったりするかもしれません。それをお釈迦様は人生で最も尊重しうる「友」としたのですね。 インターネットやSNSの浸透で、より早く、より膨大な量の情報、そして人へのアクセスが可能になりました。 その中から種々選択する毎日に追われ、現代は、情報化社会から選択社会になったかのように感じてしまいます。 令和が始まったそんな時代、我々も不動産という仕事を通じて、皆様にとっての「良き友」に少しでも近づくことができるよう、努力して参りたいと思っております。
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