所有する空き地をそのままにしていると、草刈りなどのお手入れや固定資産税がかかってることもあり、それを駐車場として運用する方がよくいらっしゃいます。
宗像市や福津市近辺では車を所有する方も増えており、自分の家の敷地内だけでは収まらないマイカーを近隣の駐車場に、というお声もよく頂きます。
駐車場の経営は、初期投資費用が少なめに抑えられるので、比較的簡単に行うことができます。さらに「建物を建てる目的」で賃貸するのではありませんので、借地借家法の適用がありません。つまり、契約の終了によってスムーズに返してもらえます。
駐車場を造成する際の注意点は!?
まず、駐車場を作るには一定の基準があります。
①露天駐車場の場合
露天の駐車場については、自動車点検基準6条に「自動車車庫の基準」というものがありまして、車庫の面積は自動車の日常点検及び清掃、調整が実施できる十分な広さを有することとされています。また、平成2年の改正で、車庫証明を出す広さは自動車全体を収容できる面積があれば良い、とされました。
②屋内車庫の場合
建築物として扱われる場合は、安全上の規制が定められております。福岡市の場合を例にとると、
独立の立体自動車車庫(自走式は除く)で、設置面からの高さ8mを超えるものは建築物として 取り扱う。(下図参照) また、当該駐車場が、他の建築物の部分と一体となっている(1棟とみなしうる)場合には、上 記条件にかかわらず建築物の部分として取り扱う。
1.床面積の算定が困難な部分については、収容1台当たり 15 ㎡として算定する。
2.準用工作物として扱うものも、構造、防火上の安全性の確保、良好な市街地環境の確保に配 慮をすること。
この他、耐火建築物に関するもの、特定防火設備など、出入り口の開口部に関するもの等々、建築基準法やその地域ごとの条例で規制が定められております。
駐車場契約を結ぶときの注意点
◉駐車場契約の内容
駐車場契約にもその内容に応じて種々のものがあります。例えば、
①土地を全て1つの会社に駐車場として貸すパターン
②土地を10区画に分けて、その1区画ずつを貸すパターン
③土地に駐車場用の屋根を作ることを貸主が認めるパターン
④駐車場ビルを作ってその中に数十区画作って各区画を貸すパターン
などがあります。
◉一つの土地を一人の人に駐車場として貸す場合
一般的な土地賃貸借契約と同じですが、契約書の初めに、
「本契約は本件土地を駐車場として使用するために賃貸するものである」とか、
「本件土地賃貸借契約の目的は本件土地を専ら駐車場として使用するためのものであり、それ以外の目的に使用しない」とか
「本契約は本件土地を駐車場として使用するため賃貸するものであり、本件土地上に建物その他の構築物を絶対に作らないこととする」等、目的をはっきりと書いておくことが重要です。
一般に、土地賃貸借契約をする際、「賃貸の目的」の項目は特に注意が必要です。
建物所有を目的とする土地賃貸借の場合だと借地借家法が適用され賃借人が手厚く保護されます。よく「いったん土地を貸したら永久に戻ってこない」と言われるのは、そのためです(実際には定期借家契約などでそのリスクを回避することはできます)。
つまり借地借家法は建物の所有を目的とする(建物を建てる前提)場合の規定なので、土地を運動場や駐車場として貸す場合は借地借家法の適用がなく、民法の規定によることになる為、比較的容易に土地を返してもらうことができるのです。
このような理由から、契約書の使用目的の項目に「駐車場として使用するために土地を賃貸する」という文言が必要となるのです。さらに「建物を絶対に作らないこと」と付け加えること可能です。
市販されている土地賃貸借契約書をそのまま使う場合、「建物所有のため」と記載されていることがありますので、その部分は必ず抹消(二重線に押印)して「駐車場のため」と記入することが大切です。
駐車場のトラブルと予防の方法
①駐車場内での車の損傷、盗難
駐車場を巡るトラブルとして多いのは、駐車中の車の損傷や盗難などの車上荒らしによるものです。露天の駐車場の場合、基本的には土地の貸主に責任はないとされてますが、念の為、契約書の中に「駐車場内での車の損傷、盗難等のトラブルについては一切責任を負わない」などの文言を明記し、契約時に念を押しておくことをお勧めします。
②賠償金額の上限を決めておくこと
上記の例以外で、「駐車場側が責任を負う」旨の契約であった場合でも、金額の予定額に上限を設けておくことができます。例えば「賠償金額の上限は利用料金◯倍までとする」などでも良いですし、具体的に金額を書いておくのも良いです。この金額については、あまり安すぎると無効となる場合がありますので、大よその目安として月額賃料の50倍〜100倍ぐらいが妥当なところではないかと思われます。
③損害保険をかけておく
駐車場台数によっては損害保険をかけることができます。
④放置自動車によるトラブル
意外と多いのがこれ。所有者が不明だったり、連絡が取れなくなってしまい放置されたままになった自動車をどうするかという問題です。
勝手には処分できないので、こちらも事前に契約書で「契約後、◯ヶ月以上使用料の支払いなく放置されている車は、その所有権を放棄したものとみなし、経営者が処分することができる」などの文言を明記しておきましょう。