2020-09-09
安倍首相退任後の不動産について、こちらの記事から。
安倍首相の退陣後、不動産市場で何が起きるのか?
(J B press)
この記事、ポイントは以下です。
①アベノミクスが住宅バブルを引き起こした
②新型コロナの影響によりトレンドが変わる
③ハイパーインフレの可能性も視野に入れ、家を買っておくと良い
ライターさんが「不動産コンサルタント」ということで、何らかの思惑が入ってることはあるでしょう。
なので、言葉尻を取るのはやめておきますが、2013年から始まった第2次安倍政権が株価を押し上げ、雇用を改善したのは、確かです。
株価は倍、失業率は4%台から2%台まで改善、有効求人倍率も全都道府県で1倍を上回ったことも、数字上、明らかです。
ただ、株価はETFで無理くり上げたもので、しかも株主の7割は外国人投資家。
実体経済を全く反映していないのは周知の事実だと思います。
また、リフレ派の人たちは、「お金を刷り続ければそのうちインフレになる」と主張しますが、実際は、 GDPデフレーターベースのインフレ率も0%台のまま。
新世紀のビッグブラザーより
PB黒字化目標を固辞し、2009年以降、改善したにも関わらず、結果は
長期金利の低迷
インフレ率も横ばい継続(2014年に一瞬上がっているのは消費増税です)
そしてこの間、「改善した」とされる雇用については、
上の図の通り、非正規雇用が増えただけなのです。
インフレ率が変わらずに、非正規が増え賃金上昇圧力がないにも関わらず(実質賃金は低迷しっぱなし)、金融緩和でお金はジャブジャブ。
その向かった先が、「投資用不動産」というわけです。
つまり、現在が十分バブルなのです。
同じバブルでも、80年代と何が違うかというと、あの時は株価が実体経済を反映しており(投機目的ではなく、実際に企業の成長に対して株式投資が行われていた)、企業もルーブル合意後の有り余ったお金を土地やゴルフ権購入のみならず、積極的に次の投資に回したという状況がありました。
ところが現在は長く続くデフレと、投機目的化した株価の維持に必死で、企業は投資より内部留保(帳簿上の純利益)の確保に必死。
そのため、賃金を抑制することが善となり、外国人労働者受け入れを政府に打診(それと引き換えに票)。
結果、「雇用が改善したのに、一向に生活が良くならない=デフレスパイラル」というリフレ派真っ青の状況が続いているわけです。
何処かの誰かが「いやいや!いつかはインフレになる!」と仰ってましたが、まだその気配はないようです。
もちろん、戦時下のような極端な「供給力不足」や、政府による長期計画の元での積極財政が行われれば別ですが、今のところはどちらもありませんので、民間銀行の日銀当座預金残高が積み上がる一方、といったところであります。
非正規雇用が増えたことにより、都市部の雇用が増え、人口流入も拍車がかかり、投資(投機)目的での不動産価格が上昇。
それも主には外国人投資家によるものが多かったのが現実です。
もともと、諸刃の剣のような、無理やり起こした「一部のバブル」だったので、昨年10月の消費増税とコロナ禍によりメッキが剥がれ、今に至ります。
②の「コロナ後のトレンド」について、簡単に言えば、都市部への人口流入が落ち着き、テレワークが増えることで賃貸の「空室」が増える傾向が強まる。
その結果、不動産価格が下落したところに、オリンピックの中止が重なれば、投資した原資の回収が困難となり、円が暴落→ハイパーインフレーションの可能性も!という文脈になってます。
まず、投資用不動産の価格が下落するにしても、少し間が空くと思われます。
「すぐに暴落」ということはないでしょう。
また、「投資した原資の回収が困難」という理屈は、「それらを全て税金で賄わなければならない」ということが前提になってますが、普通に赤字国債を発行すれば終わりです。
そもそも来年のオリンピックも、開催される可能性が強まってますので、直近では
ハイパーインフレは起こらない
と断言できると思われます。
仮にあったとして、③の「ハイパーインフレになるから持ち家を購入」というロジックもちょっと無理やり感があるかなと、思われます。
持ち家はローンで購入するので、ローンの金利も同様に上がれば、同じことになりますので。
それより、どなたかがコメントで書いてくださってますが、怖いのは、
大型地震
戦争
だと思います。
戦争は、通貨戦争も含みますが、日本の円は海外要因に大きく左右されますので、秋の大統領選、その後の中共の動き(台湾への介入)にも注意が必要です。
国内の政策では、目下、新総理は菅さんの方向で進んでますが、金融緩和が維持される間は大きくは変わらないと思います。
むしろ、財務省が余計な「税負担」などせず、コロナ禍の給付金第2弾などで需要喚起してくだされば、大幅な落ち込みも回避できるでしょう。
また、見えざる力による「新型コロナ 秋の特別編」などがマスコミを中心に煽られ、国民を恐怖の陥れるような作為があれば、これも脅威になるでしょう。
何れにしても、現在の日本の状況は、「外的要因のせいにして国内政策の批判をかわす」ようなセコい手を使わず、一刻も早く、これまでのマイナスを元に戻すこと、そして未来に向けた展望(ビジョン)をリーターがはっきりと示すこと、ではないでしょうか。