2020-07-16

「新型コロナ」が不動産市場に与えている影響

関東関西の都市部のマンション販売個数は、上半期、軒並み30〜40%減だそうです。

20年上半期の首都圏マンション、コロナ禍で大幅減

(株)不動産経済研究所は15日、2020年上半期(1~6月)および6月度の首都圏マンション市場動向を発表した。
同期のマンション発売戸数は7,497戸(前年同期比44.2%減)とコロナ禍で大幅に減少。上半期としては、初めて1万戸を下回った。地域別では、東京都区部3,845戸(同29.6%減)、東京都下761戸(同40.5%減)、神奈川県1,562戸(同53.1%減)、埼玉県498戸(同74.8%減)、千葉県831戸(同40.1%減)と全エリアで激減した。(後略  株式会社不動産流通研究所より)

モデルルームも閉鎖され営業活動も停止状態だったことに加え、投資用で売り買いされていた側面もあったので、コロナの影響をモロに受けた状況になってます。

九州はというと、

<5月 (対前年比)>

中古住宅成約件数  ▲8.6%

中古住宅成約価格  ▲2.9%

中古マンション成約件数 ▲25%

中古マンション成約価格 ▲3.4%

九州地方 中古戸建住宅の成約状況

九州地方 中古マンションの成約状況

福岡に絞ってみると

中古住宅成約状況  ▲9.7%

中古住宅成約価格  ▲1.8%

中古マンション成約件数 ▲26.7%

中古住宅成約価格  ▲6.5%

それほど変わりませんが、やはり九州全体よりやや高め。
都心部ほど買われない、つまりは「影響を受けた」ようです。

価格の方もやはり下落基調です。

福岡県 中古戸建住宅の成約状況

あくまでも西日本レインズへの登録があった件数ではありますので、参考程度とはなりますが、傾向を見るにあたって大きくはズレてないと思います。(西日本レインズへの登録は義務ですので)

図式としては都市部ほど影響が強いように見えますが、県ごとに見るとそうでもなく、それぞれの特色が強く出ています。

例えば、香川県では、中古住宅の成約件数は▲44.6%と半分近く減っていますが、中古マンションは、▲16.7%程度にとどまってます。

熊本県では、中古住宅の成約件数は▲11.8%と影響が少ないですが、中古マンションに関しては、▲30.6%と、福岡県とあまり変わりません。

この辺りの差については、その時の物件の販売状況にも影響を受けるところなので月によって大きく変わる部分なのですが、傾向としては

戸建てもマンションも2〜4割ほど、成約が減っている

ということはほぼ間違いないでしょう。

ただ、成約件数が減少傾向であれば価格も下落基調となり、そうなると「売るお客様」も増えるが自然な流れなのですが、現場ではそうでもないようです。

ちなみに、宗像市や福津市近郊では、新型コロナの経済的影響は「二極化」らしく、影響を受けたところとそうでないところが大きく乖離しているようです。

コロナ禍後の郊外への引っ越し意向は5%台

不動産市場予測では「郊外の人気が上がると思う」は49.8%と半数近かったものの、「コロナをきっかけに郊外へ引っ越しを考えている」との回答は5.3%にとどまった。「都心への引っ越しを考えている」も5.3%だった。都心への引っ越し意向は、「テレワークができても通勤が不安」という意識が要因とみられる。
働き方については「この3ヵ月でテレワークした」は、首都圏37.5%、東阪名以外19.4%と、地域によって大きな差があった。また、テレワーク実施者の8割は、居住地に関係なく今後もテレワークの継続を希望していることが分かった。
持ち家・賃貸意向では、「コロナ前は賃貸が良いと思っていたが、今は持ち家が良いと思っている」が60.5%となった。(株式会社不動産流通研究所より)

大東建託さんの調査だそうですが、こういった調査は、方法や対象、時間帯により変わってきます。

ですので、これもまた参考程度ではありますが、

「郊外の人気が上がると思う」が50%近いのに対して、

「郊外への引越しを考えている」が5.3%

そのうち本当に引っ越すのはまた僅かでしょうから、地方への移住はおそらくそこまで起こらないでしょう。

むしろ、九州地方は自然災害のニュースが頻繁に流れているので、山間や田舎の方は避けられる恐れがあります。

昔、アメリカでコカコーラ社が、新しい「コーラ」を開発するにあたり、味や風味についてアンケートを行い、膨大なデータを集め究極の「新コーラ」を開発し、売り出しました。
ところが、全く売れず、従来の「コーラ」が相変わらず売れ続けた、そうです。

これは実際の話ですが、少し似てますね。

言ってることとやってることが違うのは人間の性でして、頭では思ってても行動が伴うとは限りません。

不動産価格は相場が決めるものであり、売主の希望通りにはいきません。

私は勉強も兼ねてヤフーオークションを数十年やってますが、私自身が売主となった場合も含めた経験上、

売主の売却希望価格というのは、大体が相場より1〜2割高いです。

それでも、「値段を下げる」という行為自体は、心理学でいう「現状維持バイアス」や「認知的不協和」が働くので、なかなかできないもの。

ヤフーオークションは、正確にはセカンドプライス・オークションと言って、2番目の価格付近で落札されるようにできています。

不動産の売買でも、場合によってはこの方法を取り入れるのも良いかとは思いますが(競売などで一部取り入れられてるのはファーストプライス・オークション)、何れにしても昔から凝り固まった手法にこだわるのではなく、時代に合わせてもっと柔軟な売買方法があっても良いかとは思います。

コロナの影響が不動産市場に与えている影響、今の所は

成約件数は全体的に減っており、それに伴い売買価格も小幅ながら下落傾向

こんなところでしょうか。

引き続き「新しい生活」が浸透し、秋口から第2波が来るようなことがあれば、その傾向も強まる可能性があります。

市場の流通という意味においては、モノそのものと流通させるツールの2方面から、考えていく必要がありそうです。

「新型コロナ」が不動産市場に与えている影響

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