2020-05-24

同調バイアスについて

普段何気なく乗るエスカレーターですが、急いでる方を通すために右に立つか左に立つかは、地域によって異なります。

というか、大阪だけがなぜか右立ち(右側に立って左側で通す)なのは、ご存知の方も多いかと思います。

細く言えば、兵庫県の姫路市も基本は右立ちだそうで、京都になると、右立ちと左立ちが混同しているそうです。

世界で言うと、

韓国は、主には右立ちだが混同もある

台湾は、台北は右立ちだが、台中になるとどちらでもOK

中国は、基本は右立ちだが、混み過ぎてバラバラになる

アメリカやカナダは、基本は右立ち

ノルウェーやチェコは、ノールール

だそうです。

エスカレーターに乗ってる間は危険なので「立ったまま」が基本であることは言うまでもありませんが、人の集団心理が地域や国によっても異なり、それが受け継がれていってるのは面白いお話しです。

日本では東京の左立ちがルーツで、そこから関西以外の都市に広がったそうですが、世界では、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ハンガリー、中国、台湾、韓国、香港 が右立ち。左立ちは、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドぐらいだそうです。

大阪でも「阪急梅田駅」で

「右側に立って、急いでる方は左側に通してくだい」

という内容の駅内放送があったらしく、それがこれまで受け継がれてきたようです

なぜこのようは差があるのかは、論文が出てるほど諸説あるのですが、一般的には道路の交通を似せたのではないかと言われてます。

日本の道路では、「追い越しは右側から」が道路交通法上のルールです。

左側追い越しは禁止されており、「通行帯違反」で罰金も取られます。

なので、原則「左側に立ち、急いでる人は右側を歩いて通る」が浸透したと言われてますが、大阪ではそれが通じません。

同じく、英国と香港も、「車は左側通行だが、エスカレーターは右立ち」という逆転現象が起きてます。

香港は「英国の影響を受けた」で説明がつきますが、英国は「エスカレーターの構造」など諸説あるようです。

さて、このような「エスカレーターでどちら側かに寄って立つ心理」は、もちろん人間独特のものでありますが、人間は集団の中では、その集団の中でしか通用しない「暗黙のルール」が出来上がることが知られてます。

例えば、「Newton  ゼロからわかる心理学」によれば、

子供が遊びから家に帰る時間

です。学校の友達や近所の友達同士で楽しく遊んでいても、だいたい決まった時間になると、誰かが言い出すわけでもなく、みんな家に帰ろうとし、それに自分も合わせます。

これが「同調」と呼ばれる現象です。

同調とは、周りの人たちの行動や考えを良いもののようだと受け入れて、本来の自分の行動や考えを、周りの人たちと同じように合わせる現象です。

「コロナウイルス騒動」で起こっている「自粛警察」もこれの一種ではないかと思います。

「大勢がやるから、それが正義」

だと思い込み、その正義を、「少数のやってない人」に押し付ける。

おそらく、自分は「正義を貫いた」と思い込んでるのでしょう。

福岡県ではエスカレーターはもちろん左立ちです

それが、右側に立っていると、

「あ、この人間違ってる」

と一瞬感じてしまったのであれば、同調バイアスがかかってます。

本来、どちら側に立とうが、「決まりごとは無い」はずだからです。

それでもつい、「大勢の人がやってることは正しいこと」だと思ってしまいますよね。

営業マンのセールスなどでも、A商品とB商品で迷ってる際、

「A商品を選ばれている方がほとんどです」

と言われてると、A商品を選ぶのが正しいかのような錯覚をしてしまいます。

実際、それが事実であるか、根拠や購入層のデータも調べもせずに。

とても不思議な同調バイアス。

これが同調圧力にも繋がっていき、「自粛警察」を生み出し、少数派の社会的排除が作れらる危険性を孕みます。

そんな不思議な人間が作る社会自体、疑って見る目も時には必要かもしれません。

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