2020-04-11
宅地に向く土地・向かない土地
温暖化のせいか、最近は雨の量が極端に多くなる日が増えたように感じます。
理屈としては、
①温暖化により
②海表面が温められ
③水蒸気が上昇し
④大雨を降らせる
このような報道がよくなされてます。
温暖化自体、人間が出す「温室効果ガス」との因果関係が言われてますが、これはまだ科学的には裏付けられていません。
その辺りはまた別記事で解説しようと思ってますが、それにしても、平均気温が最近上がってること自体は、なんとなく分かる気がしますよね。
日本の場合、原因はヒートアイランドとも言われてますが、いずれにせよ急激な上昇気流が発生し、大雨をもたらしてることは事実であり、それによる被害も多発しております。
不動産売買時における重要事項説明の際も、その場所が「浸水地域」になっていたり、「土砂災害警戒区域」に入っていたりした場合は、それを説明しなければ業法違反となります。
●国土交通省「ハザードマップの情報提供を」業界団体に通知国土交通省の不動産業課によると、同省は7月末、業界団体に対し、不動産取引時に住宅購入者などには洪水や浸水のハザードマップについて情報提供するよう通知を出しました。
最近はコロナニュースでつい忘れがちですが、関東東海地方を襲って甚大な被害をもたらした「台風19号」は、昨年10月です。
朝倉方面の九州北部豪雨が平成29年。
平成30年も、7月ごろ豪雨による甚大な被害が出ております。
毎年のように夏から秋にかけてこの「雨による被害」が多発しておりますが、
共通してるのは、
◇河川の氾濫による浸水がとても酷い点
◇山間部や崖地付近で、地滑りや塀の崩壊などが起こってる点
◇被害に遭われた方が口を揃えて「これまでに経験したことがない」ようなことを仰ってる点
などです。
このような中、住宅地に向く土地・向かない土地というものを考えてみたいと思います。
どのような土地が住宅地として適しているか
基本は、
高い場所(台地や丘陵地)は自然災害に対する安全度が高い
低地になるほど地震や洪水に対して弱い
です。ただ、もちろん場所や地盤にもよりますので一概には言えません。
また宅地にするには(建築物を建てるには)地形にも注意を払う必要があります。
人気があるのは整形地(正方形や長方形など)。評価も高く、高値が付くことが多いです。
ただ、必ずしも整形地でなくても、駐車場の配置の仕方や、建物の建て方を工夫することで、土地の形をうまく利用することができます。
一般的には、
地盤が強く、高台に位置し、付近に河川が無い地域で整形地かそれに近い形状の土地
が、住宅地には向くということになります。
住宅地に不向きな土地とは
①山麓部
福岡県の朝倉方面の山間の被害は、この山麓部も甚大なものがありました。未だに修復しておらず、土木工事が進められてます。
このような場所は、過去の土石流や土砂の崩壊による堆積でできた地形となってること所があり、その場所に大雨などが降ると、再び斜面崩壊などを起こしてしまいます。
水はけの良い高台などは良いのですが、その縁の方であったり、崖の下などは、集中豪雨の際、がけ崩れを起こす可能性があります。
②台地や丘陵部の縁部分や崖下
縁辺部と崖下
③切り土や盛り土で造成した土地
土留め部分の塀が決壊したり、排水工事が十分で無い場合、地盤沈下などを起こします。
④谷部分
周囲よりも低く、谷の底のような場所は、豪雨時、浸水する危険があります。
また、もともと沼地・農地だったようなところは、地震の際、液状化が生じるおそれも出てきます。
盛り土と切り土
わがまちハザードマップdisaportal.gsi.go.jp全国のハザードマップ公表状況をまとめた「わがまちハザードマップ」です。
⑤河川周辺
もともと川だった場所や、大きな河川で、水位より低くなってる場所、堤防の高さが足りてない場所などは水位上昇時、とても危険です。
河川の下流部側の方では、長い時間をかけて上流から流れ出てきた土砂が川底に堆積してる箇所があり、除去工事を行ってない河川などでは川底が浅くなってしまってる為、その分氾濫しやすくなります。
釣具屋さんの話によると、宗像市を流れる釣川も、たまに工事を行ってはいますが、「以前から比べると1〜2メートルぐらいは浅くなった」そうです。
河川周辺の危険性
住宅地には不便な土地も
自然災害の面以外でも、住宅地として不便な場合もあります。
①消火栓や移動できない電信柱が道路上にある
電信柱は、電力会社に申請すれば移動してもらえることが多いですが、たまに移動できない場合がありますので要注意です。電信柱1本のせいで、駐車場が作れなかった事例も、過去にあります。
また付近に消火栓などがある場合、法律上、車庫が作れません(詳しくはこちらをご参考ください)
②前面道路との高低差がある
低い場合は雨水が流れ込んできたり、付近に地下水が通ってる場合があるので、湿気がたまり易くなります。
また高い場合は駐車場を作る造成費用が数百万になることもあります。
③交通アクセスが不便
都市部への人口集中が進んだ場合、資産価値の下落という問題もありますが、何より、マイカーでしかアクセスできない立地だと、何かと不便です。
特に、歩いて数時間かかるような場所だと、老後なども大変ですので、バスや電車などの公共交通機関はもとより、タクシーや地域の路線バスなどの運行状況も確認しておくと良いと思います。
④都市計画上の問題
とても重要です。
形や立地は目で見て分かりますが、落とし穴は意外とここにあったりします!
実際にあった事例として、
とある場所で、長い間賃貸で借りていた住居兼自宅を、借主がそのまま購入することになりました。売主も了承し、重要事項の説明も契約書も公布、滞りなく引渡しも終えたのですが、それから数年後、横に葬儀屋が建てられました。(不動産紛争事例より)
葬儀屋は第一種・第二種低層住居専用地域,第一種中高層住居専用地域以外の地域では建築可能です。
当然、固定資産税評価額はそれほど変動しないにも関わらず、実売価格に多少なりとも影響が出る可能性は否めません。
この場合、結局は「泣き寝入り」するしかないのですが、購入する際、都市計画法上、周辺にどのような建物が建てられる可能性があるか、確認しておいた方が良いでしょう。
⑤形状的な問題
極端にいびつな形をしている場合は除き、典型的な例としては「旗竿地」というものがあります。
上から見ると旗のような形をしている土地を、旗竿地と言います。他に、敷地を延長してるので「敷延(しきえん)」や「敷地延長」「袋地」とも言われたりします。
これは、道路に対して垂直に縦長の、広めの土地を2筆に分けて分譲したような場合にできる敷地です。
道路に接する部分は、最低でも2mあれば良いのですが(建築基準法)、通路部分に車を縦列で停める場合は、最低でも3m以上の幅が無いと窮屈になってしまいます。
また、電線を前面道路から引く場合などは、途中、電柱(支柱)が必要になることもあり、場合によってはその費用が自己負担となります(10数万円ほど)。
ただこちらは、電力会社によっては設置費用を負担してくれる場合もあります。
水道管も、ほとんどの場合は前面道路から繋げるので、距離がある分、工事費用がかさみます。
家を建てる際も、重機が奥まで入りづらかったりする場合もあります。その場合は、工期が延びたりしてしまいますので、建築費用もかさんでしまいます。
また、住宅街の中だと、奥に入り込む格好となりますので、防犯上の問題や、日当たり・風通しも悪くなってしまう場合があります。
こうして見るとデメリットばかりに見えてしまいますが、その分、土地が安く手に入る、というメリットがあります。
建てる家そのものも、風通しや日当たり、車の乗り入れなどを考慮した、デザイン性の高い家になる傾向があります。
また、道路から奥に入ってる分、車の音などは軽減されます。
一概に住宅地に向かない、とまでは言えませんが、若干、手間暇のかかる土地という面では不便さはありそうです。
旗竿地
契約前に気をつけたいポイント
その他、契約時に気をつけなければならないポイントとして、
①抵当権
前の所有者の抵当権が残っているときは、必ず抹消したのを確認してから、代金を払うようにしましょう。実務では、司法書士に委任する場合がほとんどですので、取引先の銀行も含め横の連絡を取りながら経過を尋ねつつ、進めて行くと良いでしょう。
②ゴミ出し、学校、町内会
集合住宅の場合は、マンション下など決められた場所に出しておけば済みますが、個別の住宅の場合は、そうはいきません。ゴミ出しの場所や曜日がそれぞれ異なりますので事前に確認しておきましょう。
また、お子さんがいらっしゃる方は、学校までの距離や通学路の安全性など。
町内会費で毎月1千円などの団地も、あったりしますので、こちらも確認しておくと良いでしょう。
③方角
現地で必ず方角の確認はしておいた方が良いです。たまに、図面と違ってることもあり、そうなると、建築計画自体が変わってきます。
設計士さんは方角をきちんと調べて設計しますので、そこでは間違いは起こらないのですが、実際その段階まで行ってしまうと今さら断れないという事態になります。
その前の段階で、方角はきちんとご自分で確かめてから契約行為など進めて行くようにしましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
土地を探すこと自体、一生にそう何度もあることではないので、買うとなればできるだけ慎重に、でもあまり慎重になり過ぎても行動が起こせなくなってしまいます。
そんなときはこの記事を参考に、ご自分のライフスタイルとも照らし合わせながら絞っていって頂くと良いかと思います。
何かのお役に立てていただければ幸いです。
それでは