2020-03-28
建築条件付の土地について
最近よく目にする「建築条件付の売地」の広告ですが、近隣の価格にくらべてやや割安感があるのでつい目を引きます。
建売と違い、自分の希望する間取りや仕様で、注文住宅のように建物を建築できるというメリットがある取引形態ですが、契約解除や仲介手数料を巡ってトラブルも見受けられます。
本日は、建築条件付土地について、その内容と起こりうるトラブルについて説明いたします。
建築条件付きの土地とは
建築条件付土地とは
「買主は売主の指定した建築会社に建物を建築させること」
を条件にした土地(売地)のことです。
建築会社が決まっており、売買契約の特約で
①土地売買契約後、一定の期間内に、買主は売主が指定した建築会社との間に建物建築請負契約を結ぶこと
②建物建築請負契約が結ばれなかった場合は土地売買契約は解除され、売主は買主に対し授受した金銭を返還しなければならないこと
が付されております。
独占禁止法で禁止されている「抱き合わせ販売」にならないか、については「建築条件が成就しない場合においては当該契約は解除し、授受した金銭をすべて遅滞なく返還する旨の広告」がなされてあれば、該当しないとされています。
広告で良いというわけなので、契約後、実務においてトラブルにもなってしまうわけです。
合意解除と法定解除とは
土地売買契約後、買主の都合による解除の場合、原則は手付けを放棄する形になります。これを法定解除と言います。また、建築会社が指定されており、建築プランを検討する時間も限られているため、この期間内に建築することができなかった場合、合意解除という方法もあります。この解除の場合は、支払った金銭は全て戻ってきます。
その他、他に良い土地を見つけて解除する場合は法定解除、プラン上、建築の金額が予定してたものより高くなった場合は合意解除。
また気をつけるべき点として、土地売買後、売主が抵当権抹消などの手続きをすでに終えた(履行に着手した)場合は、手付け放棄による解除もできなくなり、損害賠償の問題になってしまいますので、注意が必要です。
実際にあった事例
Aさんは3月1日に宅建業者Bの媒介により売主C(宅建業者)と
①建築条件付土地売買契約を締結し、同月15日に②建築工事請負契約を締結しました。4月10日に建築確認取得後、宅建業者B、Cから①、②の契約を解除し、土地建物売買契約に差し替えることを求められ、4月15日に③土地建物売買契約を締結しました。
宅建業者BはAさんに土地建物売買代金に基づく仲介手数料を請求し、Aさんはこれを払いました。後日、Cさんは友人から仲介手数料は払い過ぎじゃないかと指摘を受け、宅建業者Bに仲介手数料の一部返金を求めました。これに対し宅建業者Bは適正な額の請求であり指摘は間違っているとして返金を拒否しています。
建築条件付土地取引の事例の構図
巻き戻しますが、建築条件付土地売買契約は、一定期間内に建築工事請負契約を締結することを条件としていますので、買主がその請負契約を締結しないときは、土地売買契約は解除となり、売主は手付金を返還しなければなりません。
また、請負契約を締結した際は、買主は手付を放棄することで、土地売買契約を解除することができます。
上図の事例では、①と②、つまり、当初の土地売買契約とその後の建築請負契約も破棄して、新たに土地建物売買契約として巻き直し、その仲介手数料を宅建業者Bが請求したという事例です。
その後紛争になったということは、当初の仲介手数料より高くなったから、であることは言うまでもありませんが、そもそもこの行為自体が宅建業法違反(超過報酬)です。
仲介手数料が安くなったのであれば話しは別ですが、わざわざそういうことはしないでしょう。
ただ、この事例のような場合は、建築業者と売主が系列会社であることが多いです。それ自体はよくあることですが、仲介手数料が安くなっても、それが建築代金の中に組み込まれてる場合もあります。
「土地代が安い!」「仲介手数料が割引になった!」
これらに安易に飛びつくと、建築代金でがっぽり取られる場合がありますので、是非お気をつけくださいね!
さて、上図の例の場合、宅建業者Bが請求できる正当な仲介手数料は、もちろん当初の土地売買契約の売買代金に基づいたものだけ、です。
それ以外は業法違反ですので、このようなことも知っておくと良いかと思います。
よって、土地建物売買契約の仲介手数料は返還、当初の土地売買契約の仲介手数料に改めなければなりません。
最後に
本日は「月刊 不動産 2020 3月号」に掲載された実際の事例を交えながら、「建築条件付の土地取引」について解説いたしました。
最近、docomoで「ギガホ、ギガライト」の広告をよく目にしますが、あのようなスマホの契約と似てる部分があります。
先日、6時間かけてその仕組みを聞いてきたのですが(実際、キャリア替えを検討していたので)、docomo、au、SoftBank、共によくできたシステムです。
結論から言えば、「なにか割引効いてると、その分をどこかで取られてる、もしくは解約時のリスクが上がる」ということです。
スマートフォンの場合、自分が使用する日々のデータ通信量(月間も)と通話の使用量、囲う家族の範囲、Wi-Fi(モバイルも固定も両方想定して)を使用する場所と頻度、必要な機能、この辺りがある程度決まれば、現在ご使用のキャリアと比較して絞っていくと決まります。
ただこれが不動産の取引となると、絡む要素も複雑で、銀行の金利のタイミングしかり、建築会社や土木工事、そして何より金額が大きいので、以前「ポイント還元を利用してしまう仕組みとは」でも説明しましたハウスマネー効果で、判断を間違ってしまうことがあるんです。
できるだけ皆様がトラブルに巻き込まれないよう、こちらのブログでも事例や判例を今後も載せていきたいと思っておりますので、何かのお役に立てていただければ幸いです。
それでは