2020-03-20

不動産業界の仕組みについて、本日は説明します。
なかなか良いイメージがない不動産業界ですが、協会などの取り組みも功を奏してか、最近では変わってきたのでしょうか。
アメリカとは違う仕組みを長いこと続けてきたせいで、ちょうど今その転換期。
今年の4月から民法も改正され、また一段と取り組みの成果が期待されてた中での「コロナショック」ですが、こういう時こそ足元を見る良い機会と前向きに捉えましょう。
本日は、現在の日本の不動産業界がどの方向に向かってるかも含めて、表題をテーマに解説いたします。

一般的な売主目線と買主目線では
まずは売主目線で不動産業界を見てみます。
Googleなどで「不動産売却 宗像市」などのキーワードを打つと、
「〇〇市の不動産売却なら | 〇〇不動産で無料査定依頼」
このようなサイトでまず1ページが埋め尽くされます。
どれか一つ押すと、これまた華やかなページが出てきて、読み進めると最後は
○○秒査定のご依頼はこちらから
不動産の一括査定はこちらから
だいたいこのようなボタンが出てきます。
「すぐに売るつもりはないが金額だけ知りたい」ような方は、どれかボタンを押して、サイト内に入っていき、そこでお名前やメアドを入力。
物件の所在地などを入れると、その日か遅くても次の日までには様々な不動産会社から
「売却の依頼は当社へ」
このようなメールが山のように送られてきます。さらにYahooの広告にも何故か不動産会社の広告が出てくるようになったり、YouTubeを見てても不動産会社の広告が目につくようになったり。。
これはご存知、AIです。
人間は、同じ人やモノに接する回数が増えれば増えるほど、しだいにその対象に対して好印象を持つようになるという心理現象があり、これをザイオンス効果といいます。
ずっと見てるうちに、じゃあ売ろうか、という気持ちになり、普段目にしてる業者さんへ依頼する、という流れが、一般的ではないかと思います。
次に、買主目線では、通常はポータルサイトなどで物件を探すパターンが多いかと思います。
そこから良い物件を見つければ不動産会社へ連絡し、内覧。そこで他のおすすめ物件などを聞いて、絞り込んでいきます。これもタイミングですので、巡り合った物件が運命のものと捉える方が良いでしょう。
不動産は「特定物」なので、追えばキリがないんですね。
一長一短で、何かを取れば何かを捨てなければならない、またそういうように価格も決められてます。
ところが、残念ながら「両手狙い」をする業者が横行しており、本当に「運命の巡り合い」だったのか、疑わしい場合もあるのが現状です。
不動産業者の特性を考える〜売主目線〜

だいたいこのような文言が目から耳から入ってまいります。
少し前でしたらこれでも通用したのかもしれませんが、今は、YouTubeやインターネット内のサイトでも様々な情報を集めることができますので、ご自分の物件がどのくらいの価値があるか、すぐに調べることができます。(例えば土地情報総合システムなど)
というわけでこの定型句について解説しますと、
「うちはどこよりも高く売ります」
→相場は市場が決めるし、買い手側の不動産会社も探すのでそんなわけありません
「大手なので安心です」
→不動産会社に大金を渡す(預ける)場面は手付金ぐらいで、その金額ぐらいであればいざという時でも供託金で賄えます
「一括査定でまずはお見積もりを」「60秒査定で〜」
→そこを入り口にしてるだけです。そもそもこういうサイトは、不動産会社が登録して査定依頼が入るごとに課金されるシステムで、ほぼ大手です。
私が大手を毛嫌いしてるような印象を持たれるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。ただ、大手は莫大な宣伝広告費をかけてます。人件費もハンパではありません。
それを回収してさらに利益を上げなければならない立場であることは確かです。
もしこのモデル(莫大な広告費をかけてどこよりも高く売る)が正解であれば、これだけ長く続く不動産業界で、どこかが寡占化して今頃不完全競争市場になっててもおかしくないですよね。
例えばAmazonのように。
インターネットで小売をするという発想自体は大なり小なりあったのですが、莫大な投資をして自社倉庫を持って商品を自社で買い取って自社の流通網(これはまだ完全ではありませんが)で売る、というモデルが、現在寡占化されてます。
でも不動産業界はいつまで経っても寡占化されません。
この理由は、不動産の取引が「不特定物の売買を個と個で行うから」だと思います。そして、不動産業者というより、そこで担当する営業マンが、あくまでもお客様のエージェント(代理人)として働く業種だからだと思います。
下図をご覧ください。
合理的な方法は!?

つまり、大手だろうが中小零細だろうが関係ないのです。また、関係のない仕組みが作られてます。
この辺りは利権が絡み、まだ消費者の利益が100%最大化するようにはなってない部分もあるのかもしれませんが、少なくとも時代とともに改善されてきており、今もその方向に向かってます。
媒介して売却を依頼する「営業マン」の選別が大事であり、その営業マンはどこの会社に所属してても、あまり変わらないのです。
社風や社長の方針などが大きく影響されてる方など別ですが。
次に買主目線です。
不動産業者の特性を考える〜買主目線〜

通常このように物件を探します。ただ、もうすでにこの時点で落とし穴に落ちかけてます。
それは、不動産業者や建築会社も毎日同じポータルサイトを見て、さらにレインズも見ながら情報収集をしているからです。
それがなぜ落とし穴かというと、まず釣り物件という言葉があります。
これは「安くて良い物件」をインターネット広告や店頭に掲載し、お客様の目を引いて、まずは店内に誘導します。でも実はこの物件は存在しないか、あるいはすでに売却済の物件なのです。つまり、店内に入れることが目的だったわけです。おとり物件とも言いますが、これは宅建業法で厳しく禁止されてる行為です。でも、いくらでも言い逃れができるのも事実です。
そして、別の物件を薦めます。連絡先も聞いて営業攻勢をかけます。
個人が闇雲に物件を探して、うかつに不動産業者に問い合わせると、悪質な業者のワナにハマることもあるんです。
ただ、良い部分としは個人での問い合わせなので、囲い込みに合わないというメリットがあります。
業者が問い合わせると物件を隠されるのです。
それが個人からだとそもそも囲い込む必要がありません。
メリットの最大化は

それではどのようにすればメリットを最大化できるか。
上図をご覧ください。
まずは、信頼できる営業マンに物件探しを依頼します。この時点では費用はかかりません。この営業マンに条件を提示し物件を探してもらいます。
業者ですので、業者しか見ることができないレインズにもアクセスできますし、インターネット掲載前の情報を持ってることがあります。
ただ、業者ですので、両手を狙う他業者に囲い込みをされる可能性があります。その時は、その物件に個人でアクセスすれば良いのです。もっとも、それを快くOKしてくれる営業マン(不動産会社)であれば、の話しですが。
快く承諾しない営業マンもいると思います。それも気持ちは分かりますが、お客様のメリットを考えれば、それが一番の選択になります。
このように、買主の目線での利益の最大化は、
物件探しを信頼できる営業マンに頼みつつ自分でも探す(できるだけインターネットのみで)
店頭などに色々行ってみるのも良いのですが、選択肢が増えると逆に判断できなくなりチャンスを逃すこともありますので、お気をつけください。
最後に
いかがでしたでしょうか。
つまり、売る場合であっても買う場合であっても、信頼できる不動産業者や営業マンにポイントを絞って依頼するのがベターなのです。
その信頼できる不動産業者とは、
囲い込みを調査できる
地元から信頼されてる/ネットワークを持っている
法律を遵守している(違法性がないこと)
✳︎性格が合う合わないは置いておきます
少なくともこの3つが当てはまれば、安く買い叩かれることもありませんし、高値で売りつけられる心配もないでしょう。
時代は会社から個に変化してます。大量生産の時代が終わり、これからは中身が問われ、求められます。
不動産業界の波もその潮流がありますが、まずはその認識を持っていただくだけでもこの記事が少しでも何かのお役に立つのではないか、と思います。
それでは