2022-01-17
農地を活用したスローライフ
ミニマリストやアドレスホッパーなど、新しいスタイルの生き方が注目される中、自給自足をする方も最近目立つようになりました。
この自給自足というのも”完全”ではないので多少のお金は必要ですが、
「農業や釣り、狩猟などで最低限の食べ物は確保し、仕事は自宅でスローライフ」
というスタイルが、一部で注目を集めてます。
田舎は土地が安く、耕作放棄地や遊休農地もたくさん出てきているため、そういう生活を始めるのに初期費用を安く抑えられるという大きなメリットがありますし、何より贅沢な自然の恵みが山ほどありますからね。文字通り。
今日はそんな田舎の贅沢な暮らしに不可欠な農地の取り扱いについて、説明したいと思います。
農地とは
農地の多くは市街化調整区域や都市計画区域外にあります。もちろん市街化区域内にもたくさんありますが、そういった農地は現在も活用してる場合が多く、なかなか売りに出ることもありません。ただ、市街化区域内の農地は、農地転用の許可がおりやすく、意外と立地がいい場合が多いので、すぐに売れてしまいます。
この「農地」についてですが、農地法では
農地とは耕作の目的に供される土地をいう
となっており、取り扱う上で以下の2点に注意する必要があります。
①現況が農地であれば、登記簿上の地目に関わらず農地となること
②休耕地や耕作放棄地出会っても、農地となっている場合があること
基本は登記簿で良いのですが、家を解体したあと、「家庭菜園で空き地を使っている」という場合も少なくないため、どちらか分からない場合は、管轄の農業委員会に言って聞いてみるのが確実です。
農地法の適用は!?
農地には農地法の適用があり、「農地の保護、農地の有効利用」という観点から、農地の売買や転用に際し、以下の制限があります。
①農地を農地として売買すること(所有者だけが変わる)→農地法3条の許可
②農家が自分所有の農地を転用する(家を建てるなどで宅地化)→農地法4条の許可
③農地を転用目的で売買する(地目も所有者も変わる)→農地法5条の許可
前項で「市街化区域内の農地は、農地転用の許可がおりやすく」と書きましたが、②と③の場合は、許可を取る必要はなく、届け出るだけで済みます。
これはもともと市街化区域というものが、市街化を促進する区域なので、届け出だけで地目を変える(転用する)ことができるように、簡略化されているのです。
とはいえ、農地を自由に売買することはできないず、特に「農業振興地域」などに入ってる場合はそもそも農地の転用自体ができません。❇︎農業振興地域:市町村が将来的に農業上の利用を確保すべき土地として指定した区域
ただ、先ほども申しましたように、市街化区域内の農地は「売れ残ってる土地」だったりしますので、立地が良い場合が多いです。
市街化調整区域はそもそも家が建てられませんが、線引き前に家があったことの証明ができれば、可能である場合もゼロではありません。
都市計画区域外で準都市計画区域などの場合も、周辺の状況や道路環境によって変わってきますので、その場合は、行政書士や不動産業者に相談されるのが良いかと思います。
最後に
ざっくりと説明してきましたが、農地を取得するには、そのエリア(地域)や道路の状況に加え、地盤の問題もあります。土地は安く買えても地盤補強工事に数百万円、ということもあったりしますので、事前に調査が必要です。
このようなことから、「農地=避ける」方が多いのですが、使いようによってはメリットも多いのです。
「農地を利用して自給自足&田舎でスローライフ」というと夢のようなお話しに聞こえますが、実際は田舎は仕事が少ないため、資金繰りの面でうまくいかず断念、というパターンも多くありました。
ただ、最近はインターネットの環境がどんどん進化しており、自宅でできる仕事も増えてきていることなどから、まずは家庭菜園ぐらいから始め、小さな自給システムを作る「半自給自足」ぐらいのものからであれば、手軽に始められそうです。
こんな世の中ですが、日本にはまだまだ自然がたくさん残ってます。農地などを利用し、このような選択肢を一つ持っておくと、少し心にゆとりができるのではないでしょうか。
農地の取り扱いは複雑なので、何かご質問等あれば、ご遠慮なくお問い合わせください。