2022-01-07
売るに売れない土地を持っているが、そのままにしておくのももったいない
という方。
消費税や社会保障費が上がった分、せめて毎月の固定費で数万円でも入ってくれば、気持ち的にもだいぶ楽になると思います。
土地を駐車場として有効活用した場合の試算は、「土地の有効活用方法」の記事で、例もあげつつ書いておりますが、本日はより具体的な契約内容、トラブルシューティングについて解説いたします。
待っていても誰も助けてくれない世の中。
何かと出ていくお金ばかりが上がっていく日本。
土地資産を駐車場として活用するのは、意外とカンタンにできてしまうので、是非この機会に検討してみるのも一つの手かと思われます。
借地借家法が無い!
当然、建物を建てることが目的では無いので、駐車場として貸す場合は借地借家法の適用がありません。
借地借家法の適用があると、「借りた人」に有利になってしまい、「その土地を長い間使われてしまう契約」になることがあります。(定期借家契約などでは別ですが)
駐車場の契約の場合、民法が適用されますので、契約の終了事由が発生した場合、当然に契約が終了します。
例えば、「遺産分割協議が長引いてるので、その間を駐車場として貸し出し、数年後、遺産分割も終わり、相続も整理された頃に改めて土地全体を売り出す」ような場合、なかなか立ち退いてくれないとなると、いつまで経っても売り出せません。
それが、駐車場の場合は、事前に告知すれば合法的に契約が終了し、更地でもあるので、次の「売り出し」に向けてもスムーズに事が運びます。
当然、資産運用としてそのまま駐車場として残してても良いですし、選択肢は広がります。
何れにしても、「借地借家法の適用がない」という点は、駐車場の大きなメリットです。
経営方式は3種類!
駐車場経営は「サブリース型」と「管理委託型」と「完全自営型」の、主に3種類があります。
<サブリース型>
不動産会社など、いずれかの会社に一括して借り上げてもらい、所有者はその賃料収入のみ。借り上げた「運営会社」は、募集や整備、管理を一括して行い、それぞれの駐車場賃借人から台数分の賃料をもらいます。
アパート経営などでよく見られる方式ですが、細かな制約や決め事などが少ないので、確実に収入を得るという意味ではメリットがあります(空きを気にしなくて良い)。
デメリットとしては、やはりその分、収益性は下がります。
<管理委託型>
田舎で一般的に多いのは、これではないでしょうか。
駐車場の経営自体は土地の所有者が行い、募集や管理の部分を不動産会社などに委託する方式です。
宗像市内などで、例えば月額5000円の駐車場で、一台につき管理費500円/月などの取り決めがされており、台数に応じてWin-Winという関係なので、リスク分担という点ではメリットでしょう。
ただ、あくまでも経営は土地の所有者なので、契約台数を常に気にしてなくはいけません。
<自営型>
経営から管理、運営までの全てを土地の所有者が行う方式です。
全てを行うので、収益性は高いですが、出ていく費用とリスクを全て背負います。
このように、それぞれメリットとデメリットが異なりますので、あくまでも”ご自分のライフスタイル”にあった方式を選ぶと良いでしょう。
駐車場の種類
バラス(砂利)を引いて区画分けした駐車場
アスファルトの駐車場
契約の内容により、いくつかの種類があります。
①土地をそのままの状態で駐車場として貸す場合
②区画分けをして貸す場合
③屋根(カーポート)を作ることを認める場合
④駐車場ビルを作って、その中で区画分けして貸す場合
⑤一つの土地を1人の人に駐車場として貸す場合
などです。
⑤については、通常の土地賃貸借契約と同じですが、その「目的」の部分には、他と同様「駐車場として賃貸する」旨を明記しておく必要があります。
契約書に明記する事項は!?
駐車場としての使用で賃貸する旨を明記しておかなければ、土地上に勝手に建物をたてられたり、何らかの工作物を作られたりする恐れがあります。
その場合、借地借家法の適用の有無や、工作物の撤去についてトラブルの元となるのですえ。
そこで、契約書の条文の「目的」の項目に、
◆本契約は本件土地を駐車場として使用するため賃貸するものである
◆本件土地賃貸借契約の目的は本件土地を専ら駐車場として使用するためのものであり、それ以外の目的には使用しないこと
◆本契約は本件土地を駐車場として使用するため賃貸するものであり、本件土地状に建物その他の構築物を絶対に作らないこと
このいずれかを明記しておく事が重要です。
ポイントは、
①目的が駐車場であり、それ以外の用途には使用しない事
②土地上に建物、工作物等は作らない事
③違反した場合の規定
などです。
市販の土地賃貸借契約書を使用する場合、「目的」の条文に「建物所有のため」などの文言があると思いますので、それを斜線で消すなどして抹消し「駐車場使用のため」と書き改めておく事が必要です。
トラブルと予防法
駐車場をめぐるトラブルで多いのが、駐車中の車の損傷や盗難です。
特に、露天型の駐車場ではカメラの設置も難しく、周囲の建物の状況から死角になりやすい場所などではそういった被害もあり得ます。
契約書などの条文や特約事項などで、
駐車場側が責任を持つ場合とそうでない場合
もしくは
一切の責任を負わない
ことを明記しておくと良いでしょう。
駐車場経営の収益性
土地の大きさや造成にかかった費用によって、何年で元を取って、何年目以降に収益性が出てくるかは異なりますが、以前の記事「土地の有効活用方法」でもご紹介した実際にあった事例で、
《福津市若木台 某土地の例》
土地(更地) 200㎡(車は8台駐車可能)
固定資産税 ¥80,000
これを駐車場に造成しますと、
造成工事代 ¥660,000
看板代 ¥30,000
駐車場代 ¥3,000(一台分)/月
管理費 ¥3,000/月
募集費用 無料
草刈り費用 ¥10,000(年に1〜2回)
この場合、「5年目で元を取り、それ以降は毎年15万円の収入」でした。
年間で払ってる消費税が年収400万円の世帯で約20万円前後ですので、その8割近くを駐車場収入で賄える、ということになります。
ただし、色々な税金もかかってきますので、それらに伴うメリット・デメリットがあります。
メリット・デメリット
駐車場経営のメリットは何と言っても狭い土地で少額でも始められること、そして管理費用もそれほどかからないことです。
デメリットは、駐車場は建物(建築物)でないので、税の優遇が受けられず、思わぬ税負担で逆に駐車場経営が足かせになってしまうこと、です。
<メリット>
◆初期費用が安い
◆狭い土地でも始められる
◆補修費用等も安い
<デメリット>
◆建築物がないので税負担が大きい
◆収益性も低い
税金については、固定資産税や所得税、都市計画税や相続税などがかかってきます。
ただ、相続税に関しては、アスファルト塗装するなど、駐車場経営のための整備を施している場合、小規模宅地等の特例の適用を受けることで、逆に節税できることもあります。
それぞれ個別具体的な事情に応じて判断されるため、どの程度の工事が必要か、事前に税理士や税務署に訪ねておくと良いでしょう。
最後に
複雑に見えますが、税金の部分だけ事前に相談しておけば、あとは簡単です。
シミュレーションは主に、
◆いくらで貸せるか
◆造成費用
◆管理運営方式
この3つです。
満車になれば当然プラスですが、多少の空車があってもマイナスにならないようなシミュレーションが必要です。
現実、ほとんどの場合が固定資産税や相続税対策に使っていることが多く、先々その土地を宅地として売るという形で処分していくことが多いです。
便利なはずが忙しくなる一方で、処分所得は増えるばかり。
「新型コロナ」による影響で、財務省はもうすでに増税に向けて前のめりになっているそうですが、持っているものは全て生かし、”その対策”をしていきたいですね。
というわけで本日は、うまく回せれば消費税5〜10%分ぐらい(!? )は浮かすこともできそうな土地の有効活用の一つ「駐車場経営」について解説いたしました。
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